
標高1,200mの奥深い山間部に建つ戸隠神社。厳しい自然環境のなか、人々の営みと神域の間(あわい)で悠久のときを紡いできた地にホテル「awai 戸隠」はあります。参詣者を宿泊させるための宿坊、戸隠蕎麦や伝統工芸の店舗が並ぶ門前町の佇まいに、まるでタイムスリップしたような錯覚を覚えます。この場所には、目の前の時間と向き合うというプリミティブな感覚が静かに息づいていました。
神社は古来より自然崇拝における祈りの場であり、人々が集い、身を清める場所でした。山そのものを御神体として仰ぐこともあり、社が山深い土地に鎮座する場合には長い時間をかけて足を運びます。つまり参詣そのものが祈りであり、心の癒やしを求める行為でもあります。その道中には宿坊や茶屋が生まれ、旅人を迎え入れる営みが自然と育まれていきました。信仰の場には、人を迎え、もてなすための知恵と文化が息づいていったのです。
長野市の北西、標高1,200mほどの山々に抱かれた戸隠は、日本有数の信仰の地として知られてきました。天岩戸神話にその名を刻む「戸隠神社」を中心に、自然と信仰と人々の暮らしが深く結びついています。四季折々の営み、豊かな湧水、深い森と静寂。人知を超えた森羅万象は畏敬の念とともに受け入れられ、多くの参詣者を迎えてきました。秘境にありながら、人の営みが途切れることなく続いてきた風景そのものが戸隠特有の風土といえるでしょう。参詣者を迎える宿坊、農家や伝統的な屋敷が連なる門前町は、自然と営みの境界線に溶け込みながら静かに息づく「信仰のふるさと」でもあります。
戸隠エリアは新潟県と長野県にまたがる国立公園「妙高戸隠連山国立公園」の一部で、野鳥や高山植物の宝庫としても知られています。自然のリズムと人の営みが長い時間をかけて寄り添ってきたこの土地では、暮らしや景観に溶け込むことが大切な価値観として受け継がれてきました。「awai 戸隠」が歴史的な建築を活かすという選択をしたのも、そうした土地の文脈から導かれたものです。
レセプションを兼ねた「旧中社公会堂」は、公民館として人々が集ってきた建物をモダンにアップデートしたもので、2室のゲストルームとメインダイニングを備えます。車で5分ほどの集落には、昔ながらの農家を改装した一棟貸の「茅葺の家」があり、こちらに宿泊するゲストも「旧中社公会堂」へ移動して食事を楽しみます。この回遊性に、ゲストは地域の暮らしに溶け込むような感覚を覚え、街の印象に奥行きを感じます。
この神秘的な雰囲気や豊かな自然環境を求めて多くの観光客が訪れる戸隠。マネージャーの宮道 由季(みやみち ゆうき)さんは、SNSに投稿された1枚の写真がきっかけで戸隠へ移住してきました。
「私は徳島県で生まれ育ち、地元で就職し、仕事も順調な日々でした。そんな、おぼろげながらも予想できる未来を感じていたときに偶然SNSで『awai 戸隠』の投稿を見たのです。その写真には、シンプルで清潔感のある空間に優しい光が満ちていて、ゲストが楽しそうに食事を囲んでいました。なんとなく運命的なものを感じ、まだ戸隠が日本地図のどの辺りなのかも理解していなかったのですが、衝動的に採用に応募してしまったのです。面接のために初めて戸隠を訪れたときの感動は鮮明に覚えています。いまでも日々新鮮な驚きに満ちているので、ゲストの方と同じ目線で一緒に滞在中の散策プランを練ったり、生産者の方にお会いしたり、地域の魅力を掘り下げている日々です。外からやってきたからこそ感じる魅力をお客様に伝え、ここを戸隠のゲートウェイのようなホテルにしていきたいと思っています」
この土地に流れている独特の心地良さは、自然と寄り添ってきた人々の営みの延長線上にあります。戸隠神社を構成する奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社をめぐり、この地に息づく人々と出会い、土地の空気に身を委ねる。わかりやすい豪華さや派手な演出はありませんが、風土や歴史に触れていると、世相からかけ離れた時間の流れがゆっくりと身に染みていきます。awai 戸隠で過ごす体験は、秘境と呼ばれるこの地に伝わる風土に触れ、悠久の時を旅するような余韻が印象的です。
後編は、豊かな湧き水をテーマに仕立てる創作フレンチなど、awai 戸隠の奥深い魅力をご紹介いたします。
〒381-4101 長野県長野市戸隠 3390
Tel. 026-219-3444
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
http://awai-togakushi.com