およそ2年間にわたる大規模改修を経て生まれ変わった「THE RAYSUM(ザ・レーサム)」。2022年10月には新しい大会「For The Players By The Players」も開催され、そのコースの美しさには選手からも注目が集まりました。モダンなクラブハウスに宿泊施設、ゴルフ場とは思えないレストランなど、まさに新世代のゴルファーにとって理想郷といえそうです。新しいゴルフのトレンドを牽引するゴルフリゾートの魅力をご紹介します。
ゴルフジャーナリストの田野辺 薫の著書『廣野、川奈はなぜ、日本一なのか」の「名コースの条件」によると、「コースは時代とともに改良されるもの」とあります。しかし、これからのゴルフ文化を支えるゴルフ場において、アップデートが必要なのはコースだけではありません。伝統と格式を大切にしながらも、新しいゴルフのトレンドが共存する現在において、新しいベンチマークとなるのが「THE RAYSUM(ザ・レーサム)」です。2年に及ぶ大規模改修を経て生まれ変わったのはゴルフコースだけでなく、クラブハウス、宿泊施設、レストランまで刷新。新しいスタイルを求めるゴルファーのニーズに応えています。
新しくなった18ホールは、ティーグラウンドやバンカーはもちろん、グリーンや池まで改良されました。最大の特徴はグリーン周りに用意されたコレクションエリア。大小20もの巧みなレイアウトは、マスターズトーナメントさながらのドラマを生みます。フェアウェイの芝は通常の3倍のペースで刈り込むことで密度を上げ、プロのショットでもターフが取れることは珍しいほど。そんなトーナメントコースで初開催されたのが「For The Players By The Players」。JGTO(日本ゴルフツアー機構)が主催し、ジャパンゴルフツアー選手会が共催した「選手による、選手たちのための」新しい大会です。ステーブルフォードというアグレッシブな試合形式も、魅力的でした。こうした一連の取り組みについて、ゼネラルマネージャーの松原 友和(まつばら ともかず)さんにお話を伺いました。
松原さんは藤岡市の出身。東京のホテルで13年ほど勤め、その後はフランス料理のレストランをプロデュースしていました。ゴルフが趣味で、2008年の『日本プロ選手権』が印象的だったといいます。
「レーサムは憧れのゴルフ場だったんです。そんなゴルフ場にホテルが建ち、フレンチレストランができると聞いて自分の経験が生きると直感しました。ただ、当時は顧客ニーズを優先した結果、サービスやコースのメンテナンスに限界を感じていました。いろいろと詰め込みすぎていたのだと思います。今回の大規模改修では、ゴルフ場としての本質に立ち返ることができました。コースレイアウトとメンテナンスを徹底的に見直し、良いプレーをするのに相応しい設備とサービスに集中する。いままでのゴルフ場にはない、新しい空気感を目指しています。世界に通用する選手を育てる場である今回の大会も、わたしたちの目指すビジョンと共鳴したので10年というスパンでサポートすることに決めました」
クラブハウスは大人っぽいシンプルなデザイントーンで統一され、案内表示やサインなども控えめ。2階には水泳の北島 康介がプロデュースする「次世代コンディショニングジム FLUX CONDITIONINGS」によるフィットネスジムを設置。食の楽しみはカウンタースタイルの和食、昼食から夕食まで食事ができる「クラブハウスダイニング」、BBQもできる「テラスダイニング」と気分やシーンに合わせて選べます。ロッカールームの奥には天然温泉の露天風呂、その奥の不思議な球体は「ととのえ親方」として知られる松尾 大さんの監修によるサウナも新設されました。さらに、オールハンドの施術が好評のSPA「磬花 keika」、別の棟には4室のスイートルームを含む全44室の宿泊施設もリニューアルされ、ゴルフをしない人にとっても楽しめる「トータルゴルフリゾート」へと進化しました。
さらに、「THE RAYSUM」での体験を特別なものにしているのが、ホテル棟の1階にあるフレンチレストラン「Maison」です。10番ホールを眺めながら頂く本格的なフルコースは、中嶋 英樹(なかじま ひでき)シェフによるもの。群馬県の最高級ニジマス「ギンヒカリ」とたっぷりの秋野菜を庭園風に仕立てた一皿が印象的でした。
「ジョエル・ロブションなどでフレンチの修行をしてきて、土地の恵みを技術で再構築するフランス料理の本質を学びました。ここで働くことになったきっかけは、家族と一緒に軽井沢へ引っ越してきたことです。当初はフランス人のシェフがいたので、ハーブやスパイスの使い方を間近で学べたのは幸運でした。メゾンという名前は自分が料理長になったときに付けたのですが、自宅で過ごすようにくつろいで欲しいという想いで名付けています。いまはゴルフ場内に畑を作って野菜作りに挑戦中です。この場所がゲストや地域のみなさんにとって大きな家のような存在になったら嬉しいですね」
14番ホールにはフェアウェイフロントの「ゴルフヴィラ」があります。その少し先のひらけた土地に不思議な植物が植えられていました。「早生桐(そうせいぎり)という成長の早い草で、菌根菌(きんこんきん)という植物と共生する菌を用いると5年で10メートルほどの木のように成長します。薪にしてBBQを楽しんでもらったり、小屋を建てる建材に使ったり、役に立つことはどんどん進めていこうと思っています」と松原さん。
クラブハウス前では、ゴルフバッグを預けたドライバーが車をパーキングに停めに行く際に、スタッフがカートでついて行くのを見かけました。その姿を不思議に思い尋ねると「わずかな距離ですが、クラブハウスと駐車場の間を送迎しています」とスタッフの方がにこやかに話します。慌ただしいスタート前に、なにより嬉しい心遣いです。「ゴルフは精神性の高いスポーツなので、気持ちよくレーサムを選んでもらえれば」という言葉に、おもわず納得してしまいました。
今回の「For The Players By The Players」では、セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレスカードの会員に向けて、特別な観戦プランが用意されていました。クラブハウスの2階に用意された「ホスピタリティスペース」からは、18番ホールのグリーンが見渡せます。菅原 大地や井上 莉花などのトッププロによるワンポイントレッスンや、大会翌日のトーナメントコンディションのコースでプレーできるオプションなど、ゴルフ好きにはたまらない内容が盛りだくさん。この体験を通して、新しいゴルフ体験の魅力を実感されたお客さまも多かったようです。今後の展開を楽しみに、まずは一度ラウンドしてみてはいかがでしょうか。
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