未来に続く心地よさを目指して
GUILLAUME DARROUSEZ(ギヨーム・ダルーゼ)
PETIT BATEAU(プチバトー)
未来に続く心地よさを目指して
GUILLAUME DARROUSEZ(ギヨーム・ダルーゼ)
PETIT BATEAU(プチバトー)

来年130周年を迎えるフランスのファッションブランド「プチバトー」。日本ではベビー服のブランドとしても人気です。老舗の新たな顔として2020年7月に社長に就任したのがギヨーム・ダルーゼさん。eコマースのエキスパートとして活躍してきたキャリアを活かし、新たなスローガンとして「自由」「品質」「持続可能」の3つを掲げています。ブランドの目指す先には、心地よい世界が広がっているようです。来日したギヨームさんにお話を伺いました。

ブランドの原点に立ち返る

新型コロナウイルスによるパンデミックが続いてしまい、社長に就任後初めての来日と伺っています。どのような目的で来日されたのでしょうか?
「私はラグビーが好きで、2019年に日本で開催されたワールドカップの時に家族で3週間ほど滞在しました。日本の文化はとても好きで、今回は2度目の来日になります。プチバトーは現在、世界で400店舗を超えるまでに成長しました。日本はフランスに次いで2番目に大きなマーケットで、特にギフト需要などが多いので色々と勉強したいと思って視察に来ました。フランスでも日本でも子供服としての認知度は高いので、今後はベビーマーケットだけでなく心地良さや快適さを象徴するブランドとして、世代や性別を超えた魅力を伝えていきたいと思います。わたしたちの原点である品質の高さや耐久性、本質的なサスティナビリティについても知ってもらえたら嬉しいですね」

着るほどに肌に馴染む着心地

筆者には昨年子供が産まれ、友人からプチバトーの服をもらう機会がありました。新品のロンパースも生地が柔らかく愛用しているのですが、驚いたのは親戚からお下がりでもらった“お古”でも肌触りが良く感じられたことです。

「プチバトーはピエール・バルトンがフランスのトロワに創業し、自社工場を立ち上げたのが始まりです。高品質なコットンの肌触りと、強く編むことによって生まれる耐久性は、当時から変わることのないプチバトーの魅力です。ですから、お古の着心地が良いのは不思議なことではありません。着れば着るほど柔らかくなり、肌に馴染むので、なかなか手放せないんですよ。サスティナビリティが重要視されるようになったおかげで、ブランドの本質的な価値が改めて評価されるようになりました。フランスでは着なくなった服を買い取って、セカンドハンド(再販)のマーケットの開拓にも取り組み始めました。今後はこのマーケットを世界中に展開していきたいと考えています」

快適さを求めるのはフランスの美学

Tシャツやアンダーウェアなど、ベビー服だけでなく家族で使えるアイテムも豊富ですね。シンプルでカラフルなデザインはフランスの伝統なのでしょうか?

「プチバトーのデザインはフランスの精神性を表現していると思います。実はあまり知られていないのですが、カール・ラガーフェルドがシャネルのデザイナーだった頃、モデルが着用するジャケットのインナーにプチバトーのTシャツを着せたことがありました。シャネルはクラッシックと革新を同時に体現しているブランドですが、プチバトーにも同じことがいえます。どちらもリラックスできるけどだらしなくならず、長く着られるというのが共通点でしょうか。表現こそ違いますが、エレガントな快適さを求める気持ちはフランスの美学ともいえるエッセンスです。唯一の違いは、シャネルは毎日着られませんが、プチバトーは毎日でも着ることができるところですね(笑)」

これからの豊かさについて考える

コロナ禍を体験したわたしたちは、これからの時代にふさわしい豊かさや快適さを模索しているように感じます。プチバトーが目指すビジョンに変化はありましたか?

「私の友人がパリからプロバンスに引っ越しましたが、自然が豊かな環境でシンプルなライフスタイルに切り替えた人は多いのではないでしょうか。外で自由に遊べなくなったことで、自然の大切さを実感し、この豊かさを未来に残したいと思うようになるのは自然なことですよね。

今回の滞在中にプチバトーがキッズプログラムのスポンサーを務める『KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭』の一環として開催されたワークショップを視察しました。「自然と繋がろう」というテーマに真剣に取り組む子供たち。その様子に胸を打たれました。 “これから人は何を豊かだと感じるのか”と、深く考えさせられる体験でした。わたしたちの本質は変わることはありませんが、今後も外部のアソシエーションと一緒に社会や未来に貢献できるブランドを目指したいと強く思いました」

子供と自然を繋げることが使命

子供たちへの教育的な取り組みは興味深いですね。これからのブランドは商品を作って売るだけではなく、もう少し踏み込んだバリューを提示することが求められているのかもしれませんね。

「自然環境に身を置き、植物や動物など、人間以外の存在に触れることで子供たちのセルフコンフィデンス(自分を信じる力=自信)が養われると考えています。自由に動き回ること、成長すること、他人を思いやることなど、人生に必要なことは自然のなかで学ぶことも多いのです。わたしたちのもの作りも、自然と切り離すことはできません。ですから、豊かな自然環境を守るための啓蒙活動はブランドの重要な使命です。しかし、ただ知識を詰め込むだけでは長続きしないでしょう。面白く、心地よく、アタマとカラダで自然の魅力を体感することが大切です。自然のなかで快適に過ごすための服であり、着るとどこかへ出掛けたくなる。そんなブランドとして世界中で認知されるように、今後もさまざまなワークショップなどに力を入れていきたいと思います」

革新を支える揺るぎない伝統

「わたしたちは年間で4000トンものコットンニットを供給しています。この生産量が地球に与えるインパクトはとても大きく、この数字が大きくなることには大きな責任がともなうのです。これからの良い製品、良いブランドという定義には、安心して選べる製品であることも大切になってくるはずです。わたしたちはシーズンごとにオーガニック素材の使用を増やし、2025年までに環境に配慮した素材を100%採用するという目標も掲げていますが、これだけではまだまだ足りない。もっとできることがあると思っています。性別や世代を超え、多様化するライフスタイルにわたしたちのメッセージを届けることが、今後の大きな挑戦になると思います」

ギヨームさんはプチバトーを「快適で心地よい暮らしを求める人たちのライフスタイルウェア」だといいます。フランス語で「小さな船」を意味するブランドは、未来へ向けて大きく舵を切り、力強く漕ぎ出そうとしています。

PETIT BATEAU

公式サイトから商品をお買い求めいただけます。
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードがご利用いただけます。
https://www.petit-bateau.co.jp

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