風景を生み出すアーティスト
亀井 紀彦
風景を生み出すアーティスト
亀井 紀彦
サーバーメンテナンスのため、2021年10月27日(水)AM5:00〜8:00の間
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小さな器のなかにちりばめられた色とりどりの花たち。とても愛らしい佇まいは、インテリアとしてもひときわ目を引きます。しかし、間近でじっくりと目をこらしてみると、その小さな世界には大自然を切り取ったような神秘的な美しさがあります。坪庭や盆栽など、日本古来の美意識と、壮大な自然観が融合した亀井 紀彦さんの作品たち。アトリエ兼ギャラリー「雨 北鎌倉」でじっくりとお話を伺いました。

儚さと美しさ

東京造形大学の美術学科絵画専攻に通っていた学生時代から、華道や茶道を嗜んでいたという亀井さん。卒業制作では老舗和菓子屋の「とらや」でオリジナルの和菓子を依頼し、「食べて無くなる事の儚さを美しい和菓子で表現した作品」をつくったといいます。「その頃から自然への憧憬や、とどまることなく移ろう“無常”への興味がありました」と、独自の作家性を追求。儚さと美しさというテーマを求めて、生花や自然素材を使った作品を手掛けるようになりました。

存在しない景色を描いた「花山 Hanayama」

代表作である「花山 Hanayama」には、瑞々しい生花と、ひときわ鮮やかなプリザーブドフラワーの2種類があります。セレクトショップをはじめ海外からも注目されているのがプリザーブドフラワーの作品。「鳥の視点になって、ここではないどこか、ありそうで存在しない景色を作りたい」と、漆黒の盆に一枝ずつ花を植えていきます。亀井さんは自身の作品について「アートとデザインの中間のような存在だと思います。日々の生活に彩りを添える存在として暮らしに溶け込めたら嬉しいです」と話します。この「花山 Hanayama」が「IFFT(インテリアライフスタイル リビング)」にて「Young Designer Award 2019」を受賞。海外へも広く紹介されることになりました。

里山の香りを運ぶ「景色風 wind of the scenery」

「花山 Hanayama」をひとまわり小さくし、手の平に収まる「浮き石」に景色を描いたのが「景色風 wind of the scenery」。土台の浮き石は桜島で採取されたもので、プリザーブドフラワーとの一体感が鮮やかな苔のようにも感じられます。目の前の作品からほのかに漂ってくるのは、調香師 津田 啓一郎さん(sōhon)によるオリジナルの香り。「私の作品は、この世にありそうで存在しない世界です。その世界ではどんな香りがするのか。植物の香りを知り尽くした津田さんの香りによって、この世界観に奥行きが出たと思います」と、亀井さん。二人のアーティストによるコラボレーションは、視覚と嗅覚で幻想的な世界へ誘ってくれる作品です。

間(あわい)を感じる「黄泉花 Yomihana」

もともとは写真作品のモチーフとして「この世とあの世の間(あわい)」を表現したのが「黄泉花 Yomihana」。一見、どこかに生えていそうな美しい花に見えますが、実はこれ、違う花の花弁や茎などを組み合わせて作られています。植物の美しいフォルムや色合いを知り尽くした、亀井さんらしい作品といえます。プリザーブドフラワーという「花であって花でないもの」の特徴を活かし、世界中のどこにも存在しない一輪の花を作り上げました。

山野草を愛でる「時山 Tokiyama」

そして、最新作として力を注いでいるのが、山野草を盆栽のように生けた「時山 Tokiyama」です。「もともと東京で暮らしていたのですが、逗子に住んでいる友人宅を訪れたのをきっかけに、引越しを考えるようになりました。北鎌倉は自然が近く、静かで落ち着いた雰囲気が気に入っています。近くの山林を歩いているときに、けなげに咲く山野草の姿を見て作品にしたいと思いました」と話す通り、市場に出回ることのない名も無き花の儚さと美しさを見事に表現しています。

アートで自然観を暮らしに取り込む

「自然の野山に咲く草花も、市場に出てくる生産者による生花も、特殊な加工を施されたプリザーブドフラワーも、どんな花もただ美しく、そして儚い存在です。その美しさをアート的なアプローチでプロダクトにし、生活に取り入れる。そこには余計な理由は必要ないのではないかと思っています」と、亀井さん。私たちは古くから盆栽や坪庭など、暮らしのなかに自然を取り込む工夫を凝らしてきました。亀井さんの作品はインテリアとしてひと味違った自然の神秘を感じさせてくれます。ひとつとして同じものはないので、ぜひ実物を手に取って頂きたい作品です。

亀井 紀彦プロフィール 

1981 大阪生まれ
2000 大阪府立港南高等学校(現:大阪府立港南造形高等学校)美術科卒業
2004 東京造形大学 美術学科 絵画専攻 卒業
2007 東京造形大学 大学院 造形研究科 修了
2020 神奈川県鎌倉市に「雨 北鎌倉」をオープン

<展示>
2005 「EXPANDISH」スウェーデン大使館
2005 「亀井紀彦 透過-和菓子-個展」フタバ画廊
2006 「内に見る」亀井紀彦 個展 東京造形大学院棟ギャラリー
2006 「Aランチ」AXIS GALLERY ANNEX
2006 「和菓子アート展」虎屋ギャラリー
2006 「和菓子展」spiral
2007 「OPEN」Gallery 5610
2014 「草月いけばな展」日本橋高島屋
2014 「宇宙茶会 和菓子デザイン」日本橋三越
2015 「草月いけばな展」日本橋高島屋
2016 「MIYAVIE 装花デモンストレーション」伊勢丹新宿本店
2016 「草月いけばな展」日本橋高島屋
2018 「古美術のススメ」井上オリエンタルアート 日本橋
2019 「MONO JAPAN」Lloyd Hotel オランダ アムステルダム
2019 「Japan EXPO」SIAM PARAGON タイ バンコク
2020 「Meson&Objet」 パリ フランス
2020 「Ambiente」 フランクフルト ドイツ

OFFICIAL SITE: https://www.kameinorihiko.jp/

ギャラリー「雨 北鎌倉」

〒247-0061 神奈川県鎌倉市山ノ内841
Tel. 0467-80-2726
営業日:平日・祝日(予約制)/土曜・日曜(13:00〜18:00)
https://www.kameinorihiko.jp/atlier

亀井さんの作品を購入できるお店はこちら(一部)

<g GIFT AND LIFESTYLE>
東京都港区六本木6-10-2 六本木ヒルズ ヒルサイドB1F
Tel. 03-6812-9163
営業時間 11:00-21:00
アクセス:東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口・大江戸線「六本木駅」3番出口より徒歩3分
https://g-roppongi.jp/