自然と対話し、自分を取り戻す
Nature Dialogue Program
自然と対話し、自分を取り戻す
Nature Dialogue Program

動物や自然と向き合うことで「人間としての感覚」を再発見する研修プログラム「Nature Dialogue」。そのメインとなる「ホースローグ」は馬をコーチとし、自分自身と対話する独自の内省プログラムです。立場や肩書きの鎧を外し、自分を客観視することでリーダーシップを育むプロセスは、ビジネスシーンに有効なだけでなく“自分らしさ”を取り戻すセラピーのような役割も兼ねているようです。現地で体験したプログラムのエッセンスをご紹介します。

新しい時代のリーダーシップ

働き方や組織の在り方が多様になり、これまでのリーダー像やチームに求められる価値観にも大きな転換が求められています。企業の成長や規模の拡大が大切にされてきた社会では、具体的な数値目標や成長戦略が重視され、リーダーには問題を解決しながら目標を達成できる“強いリーダーシップ”が求められていました。しかし、「ティール組織」など新しいチームの在り方が注目される現代では、強引なリーダシップだけでは組織を成長させることができません。ビジョンを描き、周囲と調和しながらともに成長していく“新しいリーダーシップ”で大切になってくるのが、“既存のリーダー像”という固体観念から抜け出すこと。そのプロセスとして開発されたのが、「Nature Dialogue Program(ネイチャー・ダイアローグ・プログラム)」です。

部下の話を心から聴けていなかった

「Nature Dialogue Program」を開発した小日向 素子(こびなた もとこ)さんは、外資系企業でマーケティングや新規事業開発などを担当していました。2006年には、とあるグローバルカンパニーの日本支社において、マーケティング部の責任者に就任。これは、その企業において女性では世界初、しかも最年少という大抜擢です。しかし順調な業績とは裏腹に、就任1年後の多面評価において少し気になる項目が出てきました。それは「LISTEN BY HEART(心から聴いている)」というもの。特に、部下からの評価が低く、「会話の中では頷いているけど、実は理解していないことが多い」というフィードバックを得ました。具体的な改善の方法を見つけられないものの、全体的な評価を良しと受け止めて業務に忙殺される日々に戻っていったのです。しかし、やがて仕事にも窮屈さを感じるようになってきた頃、勤め先が買収されることになりました。好機と捉えた小日向さんは会社を去り、消化不良を感じていた「自分のリーダーシップスタイル」を模索することになります。

馬と出合い、学ぶ

そこで出合ったのがホースセラピーでした。人間が大きな馬と関係性を築く過程を目の当たりにし、「馬がリーダーシップ研修の先生になるのではないか」と感じた小日向さんは、世界中の牧場研修プログラムに参加します。

「いろいろな仕事をするなかで、なぜ自分がうまくリーダーシップを発揮できなかったのか、ずっと引っかかっていたのです。馬との関わりからヒントを得た私は、世界のトップパフォーマーが自然からリーダーシップの本質を学ぶ“牧場研修”を積極的に取り入れていることを知りました。そこで、世界中のさまざまな馬と関わるプログラムを体験しながら、2011年に現在のプログラムの原型を立ちあげました。さらに、トップクラスのビジネススクールのひとつであるスイスのIMD(国際経営開発研究所)にも通い、ギンカ・トーゲル博士によるリーダーシップ開発のプログラムでは馬の力を借りながら自己内省の気づきを得ることができたのです。また、スタンフォード大学では牧場研修の権威であるビバリー・ケーン博士との対話でリーダーシップの本質に触れることができました。それは、自分の感覚を信じて周囲と接し、お互いに良い影響を与え合うというもの。彼らの自然に振る舞うリーダーシップに触れたことにも大きな影響を受けつつ、自身の成長を求めながら磨きをかけたプログラムが『Nature Dialogue Program』なのです」

感覚の生き物と触れ、言葉の檻に気づく

2017年からは札幌に自社の牧場「ピリカの丘牧場」を運営し、3頭の馬とともにさまざまな企業の研修やマネジャーの育成をサポートしています。これまで受講した人数は延2,000人以上に及び、リピートするゲストもいるといいます。フィールドにいる馬たちを眺めていると、「どの馬がリーダーだと思いますか?」と聞かれ、思わず考え込んでしまいます。しかし実は馬の群れにおいてヒエラルキーは存在せず、その時の状況に適した馬がリーダーシップを発揮するのだと教えられました。つまり私は、“リーダーとはこういうもの”という“言葉の檻”にとらわれて、居もしないリーダーを探していただけなのです。

「馬は身体全体がアンテナとなって周囲の状況を知覚しています。角や牙、鋭い爪などの武器を持たない馬は、人に寄り添うように進化した生き物です。そして、脳内に『ミラーニューロン』を多く持ち、目の前にいる人の感情を読み取って感覚が同調するといわれています。人馬一体と言った感覚も、この特徴によるものです。実際に繋がれていない馬の前に立つと、まだ感覚が同調していないのでコントロールできない感覚に恐怖を感じる人が多いと思います。また、その大きさや重量感にも圧倒されるでしょう。それが、動物としての本能的な反応であり、思考や理性よりも感覚が優位に働いている状態なのです。馬と向き合うことで自分が目の前の状況をどのように捉えているか、そして五感がどのように働いているかを実感します。その気づきが、“言葉の檻”に捕らわれている状態から抜け出す第一歩なのです」

馬と一緒に歩いてみよう

続いて牧場にある直径5メートルほどのサークルに移り、実際のプログラムの一部を体験させてもらいました。パートナーはグレーの毛が印象的な「アーチャー」。アパルーサ種と道産子のハーフで、23歳の大きな馬です。「どんな方法でも良いので、リードを持ってサークルを一緒に一周してみてください」という指示のもと、馬に近づいていくとなかなかの迫力に緊張感が増してきます。こちらの緊張が伝わるのか、アーチャーもどこか落ち着きません。なんとか一緒にサークルを歩くことはできたのですが、どれくらいの時間が経ったのかわからないくらい没頭していました。何がきっかけで一緒に歩いてくれたのかはわかりませんが、ある瞬間に“歩く”という意思よりも、“足を前に動かす”という動作に集中できた感覚がありました。言葉は通じませんが、ともに歩くためにとるべき行動が自然と理解できた気がしたのです。非常に不思議な感覚ですが、なんとも心地良い感動を覚える体験でした。

理論ではなく、感じるマネジメント

実際のプログラムではNature Dialogue Programの哲学と技法をまとめた著書『ナチュラル・リーダーシップの教科書』を課題図書として設定し、ベースとなる考え方を共有したうえで、参加者の課題に合わせたプログラムを組み立てます。 例えば、参加者が過去に体験した「困難な対話」について語り、ほかの参加者たちからインタビューを受けながら「自分の思い込み・無意識に持っている価値観」と「客観的な事実」とのギャップから気づきを得るプログラムや、馬のなかに混じって「自分も群れの一部になったと感じたら手を挙げる」という、“群れ”というものを自身がどう捉えていたかを実感するプログラムなど、いずれもユニークで興味深いアプローチです。

「参加者の課題はさまざまですが、このプログラムに興味を持った時点で“自分を変えたい”という状況であることが多いと思います。ここでのプログラムによって固定概念から抜け出せる気づきを得たとしても、日常生活に戻ると再び感覚よりも思考が優先されてしまいます。言葉のコミュニケーションによってさまざまな思い込みが湧いてきて、“自分らしさ”や“素直な感覚”が薄れてしまうこともあると思います。何度もこの研修を受けに来るゲストが多いのも、そうした“アンラーニング(学びほぐし)”の機会に最適だと感じているからだと思います。私はこれを“人間性を取り戻すプロセス”と呼んでいます」

いかにバイアスに捕らわれているか

私たち人間は、言葉によって他者とコミュニケーションを取ることで複雑な社会を形成し、発展してきました。しかし、時としてその言葉によって事実と解釈に差が出ることで、思い込みや決めつけといったバイアスが生まれているのです。Nature Dialogue Programでは、室内で行われるワークショップを織り交ぜ、フィールドで得た感覚的な気づきを客観的に振り返ります。そのプロセスによって、体験や感覚の解像度が高まり、自分を取り巻く言葉のバイアスに気づくことができるのです。
「本当の自分はどうありたいのか」。
そんな想いが湧いてきたとき、ホースローグに参加してみると何か気づくことがあるかもしれません。毎回、結末や印象が変わる究極のオープンエンドな研修ですが、きっと自分らしさと調和が共存した新しい発見を得るはずです。

Nature Dialogue Program

〒063-0011 北海道札幌市西区小別沢149-2

セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://naturedialogue.com

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