「海とのつながり」をテーマに新しいラグジュアリークルーズの世界を切り開く「エクスプローラ ジャーニー」。2028年にまでに6隻の船が就航する計画です。後半では、実際に最新のエクスプローラⅡに滞在し、コンセプトである「Ocean State of Mind(海とのつながり)」から見えてくるラグジュアリーツーリズムの最新トレンドをお届けします。
ついに2隻目の「エクスプローラⅡ」が就航したエクスプローラ ジャーニー。豪華客船における船旅を再定義するこのブランドのコンセプトは「Ocean State of Mind (海とのつながり)」です。大切にしているのは、美しい自然環境の中で心に響く瞬間を創り出すこと。次の目的地までの移動でさえ、すべてが旅の瞬間として心に刻まれる。その特別な時間と空間こそが真のラグジュアリーだと考えています。ブランド名に「Cruise(クルーズ)」ではなく「Journeys(ジャーニー)」という言葉を選んだことからも、船旅への新しい世界観を提示していく意気込みを感じます。この「海とのつながり」というコンセプトは一貫しており、ストレスフリーで過ごせる洋上のリラクゼーションを提供しています。豪華さよりも安らぎ、サービスよりもホスピタリティなど、これからの時代に求められる、新しい豊かさのヒントが詰まっているように感じます。
従来のラグジュアリークルーズのイメージを覆すブランドは、いかにして誕生したのでしょうか。チーフ・コマーシャル・オフィサーのアキーレ・スタイノ氏にお話をうかがいました。
「私たちはただ新しいブランドやカテゴリを作ったわけではありません。“海とのつながり”をテーマにした最上級のライフスタイルオーシャンブランドとして、客船はもとよりクルーズのプログラムや料理、スタッフの育成などすべての体験を作り直しています。トラディッショナルな世界観から脱却するために、我々は2万人に及ぶ富裕層やクルーズ愛好家へアンケートを実施しました。例えば従来よりも短いクルーズプログラムなどは、現役世代の忙しいビジネスパーソンとその家族にかけがえのない旅行という体験を届けています。時間にもう少しゆとりのあるファミリーはその利用期間を延長したり、出発地や到着地での滞在をのんびりと楽しんでいるようです。地中海のプライベートヨットで過ごす休暇のように、目の前の時間に没頭できることはなによりも贅沢です。これまでの豪華客船での旅に慣れたゲストにも新鮮な驚きを届けるとともに、世界中の一流ホテルやリゾートを泊まり歩いたゲストにも満足していただけると思います。私だったら、船尾のインフィニティプールで夕陽が沈む海を眺めながら、ゆっくりとくつろぐ時間を満喫したいですね(笑)」
「エクスプローラ」シリーズの設計はメガヨットやスーパーヨットのデザインも手掛ける建築家のマーティン・フランシスが担当し、建造はイタリアの造船所フィンカンティエリが手掛けます。世界トップクラスのデザインとホスピタリティ・デザイナーが手を組んだ室内空間は、本物の素材をふんだんに用いた落ち着きのあるレジデンススタイルが特徴。高級クルーズブランドでありながら、キッズ専用の「NAUTILUS CLUB(ノーチラスクラブ)」や独自のアクティビティが潤沢に用意されているのも印象的でした。船内で過ごす家族の大切な時間に気を遣う必要はなさそうです。船首方向の大人専用のプール「HELIOS POOL & BAR(ヘリオス プールアンドバー)」を含め、船内には4つのプールとそれぞれにバーが設置され、至る所にデイベッドが設置されているため、ゲストはなにかを我慢したり、待たされたりすることはありません。それは船内すべてのレストランや24時間のルームサービス、無制限の高速Wi-Fiも同様で、些細なことにも一切妥協しない徹底ぶりがストレスを感じさせない体験に繋がっています。
これらのこだわりは食体験にも通じます。エクスプローラ ジャーニーの客船には日替わりでメニューを提供するメインダイニングが存在しません。要予約の「アンソロジー(有料)」はもちろん、世界各国から集められた新鮮で上質な素材を使った料理は、6ヵ所あるどのレストランで食べても、いつでも出来たてです。特筆すべきは、いわゆるビュッフェスタイルも採用していないこと。18ヵ所のフードステーションが集まった「エンポリウムマーケットプレイス」でさえ、すべてのカウンターに専用のキッチンが設けられ、オーダーするとその場で調理してくれます。結果的にすべてのレストランで食料の廃棄を減らすことができ、シグネチャーメニューの品質を上げることに繋がりました。気に入った料理があれば、ぜひ「シェフズキッチン」へ。少人数制のプライベートキッチンで、シェフから手ほどきを受けることができます。出来たての料理を食べながら、洋上で世界中の風土を楽しむのも贅沢な体験です。
そもそも船でありながら「全室テラス付きオーシャンフロント」と銘打っていることからも、“船だから……”という言い訳を許さない覚悟がうかがえます。それどころか、フローティングリゾートとしての強みを最大限に発揮するプログラムも発表されました。2025年のモナコグランプリ観戦パッケージでは、レーストラックからわずか150mのエルキュール港に接岸する洋上の別荘に早変わり。パドック先にある港の端という特別な場所に位置し、FORMULA 1®の興奮と専用のオーシャンフロントテラス付きのプライベート空間を同時に楽しめるとあって、まさにライフスタイルオーシャンブランドを体現したプランです。
また、エクスプローラ ジャーニーでは船員をクルーではなく「ホスト」と呼び、客室をキャビンではなく「スイート」と呼んでいます。さらに、専門店街の「BOUTIQUES(ブティック)」や、クラフトマンシップ溢れるアイテムを集めたセレクトショップ「THE JOURNEY(ザ・ジャーニー)」ではただの販売員ではなく、ブランドの哲学を理解した「スペシャリスト」が常駐。エクスプローラⅡでは世界で初めて高級宝飾の「ブチェラッティ」専門店をオープンしました。パネライやカルティエなど、厳選されたブランドのブティックはいずれも直営店扱いで、ショッピングだけでなくスペシャリストによるブランドストーリーやプロダクトの開発背景を知ることも楽しみのひとつです。
最後に、とっておきのウェルネスエリアをご紹介します。旅先で健康的な体験が求められる昨今のトレンドは洋上でも変わりません。むしろ、滞在空間ごと移動するストレスフリーな船旅では、よりマインドフルな時間を楽しみたいと思うもの。フィットネスセンターは270㎡もの十分なスペースにスタジオエリアとマシンエリアを完備。Technogymと提携した最新のウェイトトレーニングだけでなく、希望すればゲストルーム用のポータブルトレーニングセットの貸し出しも行っています。毎日ヨガやピラティスのプログラムが開催され、有料のパーソナルトレーニングなどもオーダーできます。
さらに、ハイドロテラピープールや壁一面が岩塩の「ソルトケイブ」などが備わったSPAエリアにはドライサウナやスチームサウナも完備。サウナの外にはSPAエリア専用の外気浴スペースまで用意されているのには驚きます。もちろん、多彩なトリートメントプログラムや美容に関するメニューも豊富に用意され、荷物を引きずりながら疲れ果てる旅とは無縁です。Deck14の外周エリアにはアウトドアフィットネスのコーナーもあり、潮風を浴びながら外周をジョギングしたり、エクササイズだけでなくバスケットボールやテニス、ピックルボールといったゲームスポーツも楽しむことができます。
滞在を通して感じるのは、ゲストの希望に応えるだけでなく、その期待を超えるサービスを提供していこうという徹底した姿勢です。ひとたび乗船すれば、ゲストに対するホストの数やスペースなどの数値的なものを超えて、妥協のないホスピタリティが徹底されている印象を受けることでしょう。株式会社MSCクルーズジャパンのエクスプローラ ジャーニー担当副社長、森田 千里(もりた ちさと)さんにお話をうかがいました。
「船旅とはもともと上流階級の社交の場を洋上に移したという歴史があります。イギリススタイルのダンスやフルコースなど、豪華客船のクルーズから連想されるイメージがまさにそうでしょう。しかし、現在の船旅はラグジュアリーツーリズムの一部として、旅慣れた富裕層にとっても魅力的なカテゴリを作り出す必要がありました。まだこどもが小さく、仕事もバリバリこなす都会的なファミリーにとっては、長期間の世界一周旅行よりも家族だけで1週間過ごせる快適な旅が求められていたのです。そして、ときにはオンラインで仕事の打ち合わせができることのほうがストレスを感じないのです。ですから、エクスプローラ ジャーニーではブロードウェイスタイルのショーよりも高速で安定したWi-Fiなどの日常に必要なものや厳選されたブティックなどの体験、周囲の自然とのつながりを感じるウェルネス空間など、非日常の体験やくつろぎの提供を大切にしています。食事も好きなときに出来たての料理を食べ、日常と同じように健康的なライフスタイルを送りながら世界中を旅することが重視されているのです。比較的短い期間の旅程に区切られていることや、休みの予定が決まる直前まで予約枠を確保できる点など、忙しい生活であっても旅を楽しむことを大切にする日本人にとっても快適な船旅になると思います」
命名式を終えたエクスプローラⅡは、2024年9月16日よりソレント、リーパリ、トラパーニ、シラクサ、ヴァレッタを経てスペインのタラゴナへと向かう7泊の処女航海に出航しました。「エクスプローラ」シリーズは環境汚染の原因となる重油を使用せず、これから作られるⅢとⅣでは船舶用ディーゼルオイルとLNG(液化天然ガス)を採用。さらにⅤとⅥではLNGと燃料電池を併用し、水素を推進源とする予定になっています。汚染や環境負荷にとってはベストな選択ですが、実現には寄港地の選定やLNGの補給を手配する必要があります。これらの意思決定は、すべて一族経営によるトップダウンだからこそ実現できるもの。設備やサービスなど、ブランドを体現するすべてにおいて感じるのは、この徹底したクオリティコントロールと明確なビジョンです。自然とのつながりや家族との時間を大切にすること。未来に想いを馳せ、他者と共存していくこと。そうした心まで満たす豊かさを感じる船旅は、きっと人生に新たな気付きを与えてくれるはずです。今後は地中海だけでなくカリブ海を含めた世界中の港へ航路を延ばすエクスプローラ ジャーニー。船旅の新しい時代が幕を開けたのを感じる体験でした。
夏休み・西ヨーロッパ( バルセロナ ~ チビタベッキア/ローマ )
料金(1室) $3,210~(2名利用の場合の1名料金)※ 2024年12月10日現在
エクスプローラⅡ 運航日 2025年8月25日(月)~9月1日(月)
https://www.icruises.jp/p/search/detail/EXJ-E220250825-007
年末年始・カリブ海( サン・ファン ~ マイアミ/フロリダ州 )
料金(1室) $4,480~(2名利用の場合の1名料金)※ 2024年12月10日現在
エクスプローラⅡ 運航日 2025年12月19日(月)~2026年1月5日(月)
https://www.icruises.jp/p/search/detail/EXJ-E220251229-007
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