その食材がどこから来たのか。誰が、どのように作ったのか。食への関心が高まり、最近では生産者と手軽に繋がることができるサービスなども人気です。良い食材に出会えるコミュニケーションや安心できる食材へのニーズは、今後ますます高まっていきそうです。良質な黒毛和牛にこだわり、ユニークなサービスを提供するのが「TOKYO COWBOY」。全国からオンラインでオーダーが増え続けるその魅力について、TOKYO COWBOYを運営するJNYコーポレーション代表の上野 望(うえの のぞみ)さんにお話を伺いました。
柔らかな肉質と、とろけるように甘い脂が特徴の和牛ですが、最近はイチボやランプなどの希少な赤身も人気を集めています。これは日本の精肉職人による丁寧な下処理と、細かな部位を切り分ける高度な精肉技術があってのこと。良質な和牛や、好みの部位を自宅でも楽しみたいと、全国からのオーダーが増え続けているのが「TOKYO COWBOY」。世田谷の住宅街に佇むモダンな店内に、厳選された和牛がずらりと並ぶ姿は圧巻です。ショーケースを眺めながら「良質な肉は、美しいですよね」と話すのは、代表の上野 望さん。
もともとは外資系の証券会社に勤めていたという上野さん。なぜ和牛専門の精肉店を始めたのでしょうか。
「金融商品を扱っていた頃から、“お客さまと喜びが分かち合えるビジネスをしたい”と考えていました。当時、精肉業界に精通した友人がいて、話を聞いてみるとまだまだ可能性がありそうな業界だと感じました。焼き肉店はお洒落なお店が増えてきて人気なのに、精肉店はそれほど注目されていない。キーパーソンになりそうなスタッフとの縁もあり、立ち上げたのがTOKYO COWBOYです。良いお肉を仕入れてお客さまの好みに合わせて提供するという点では、昔ながらの商店街にあるような精肉店と同じです。そして、“本当の意味で喜んでもらう”ということを考えた結果、自信を持って提供できる和牛を厳選し、その場でおすすめの部位を好みのサイズにカットする「フルオーダーカット」やシンプルなパッケージングなどの発想に行き着いたのです。本質はそのままに、売り方や見せ方を時代に合わせてアップデートしたことで、古き良き精肉店の文化を活性化できると考えました」
サブウェイタイルが印象的な店内は、さながら“和牛のセレクトショップ”といった佇まいです。
バイヤー的なポジションを担うのがキーパーソンの一人、二宮 昂(にのみや たかし)さん。ミートコンシェルジュとして独自の基準で良質な和牛を厳選しています。常時40種類以上がストックされ、買い入れの基準は月齢30カ月以上で、子供を出産したことのない雌の黒毛和牛であること。市場では2割にも満たない「生きたまま熟した牛」の中から、さらに厳選したものだけが店内に並んでいます。
「いわゆるブランド牛は、それぞれの基準を安定して供給しています。当店が扱う肉は、いわばその時に旬な肉。それが神戸牛でも松坂牛でも、ブランドに関係なく全国の良質な黒毛和牛から厳選しています。その時に手に入るベストなお肉を、料理や好みに合わせて提供でき、熟成させる必要がない肉。それが私たちの基準であり、TOKYO COWBOYというブランドになっていくのだと思っています」
また、TOKYO COWBOYでは食材の「トレーサビリティ」にも重点をおき、牛の個体識別番号を記録、保管することで「いつ」「どこで」「誰が」生産した牛なのかを管理しています。希望すれば「BSE検査証明書」や「放射能検査証明書」などを商品と一緒に封入することも可能で、美味しさを楽しむだけではなく安心して食べることができます。また、丁寧な下処理と高度なカッティングでさまざまな部位を切り分けるため、余分な筋や脂身も含めてフードロスは最小限に抑えられます。目の前で処理され、好みの厚さや大きさで「フルオーダーカット」できるのは、精肉店ならではの醍醐味。ステーキでもバーベキューでも、お肉を選ぶ特別な楽しさが倍増します。
さらにユニークなのが、和牛を楽しむためのさまざまな仕掛け。例えば「MEAT KEEP」は、気に入った部位をキープできる日本初のサービス。確保したブロックから好きなときに好きな分量でカットしてもらったり、一部をギフトとして贈ることもできます。他にも、全国の生産者が手塩にかけた「チャンピオン・ビーフ」をオーダーできるプログラムや、ミートコンシェルジュが「同じ部位の産地違い」や「同じ牛の部位違い」といったテーマで毎月お届けする「和牛マイスターになるための定期便」など、和牛の魅力を余すことなく堪能することができます。
「安心して美味しいお肉を食べたい!」という気持ちは、豊かな食生活を送る現代人にとっても少し特別な期待が込められています。しかし、上野さんは「“最高のお肉”なんてない」と言います。
「美味しいかどうかはシーズンや、食べる人の体調によっても変わる。けれど、私たちの肉を美味しいと感じてもらえるとしたら、そこにはポジティブな気持ちが詰まっているからだと思うんです。“美味しいお肉を届けたい”という我々の想いはもちろん、“家族を喜ばせたい”とか“仲間を驚かせたい”とか、“頑張った自分へのご褒美”とか、そういう気持ちも含めて“美味しい体験”になるんだと思います。だから私たちは、その気持ちにプロとして応え、コミュニケーションを取りながら最高のイベントをお手伝いする。これからも、そういう本質的な豊かさを求めるお客さまの期待に応えていきたいですね」
〒158-0098 東京都世田谷区上用賀1-10-16
Tel. 03-6805-6933
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードがご利用いただけます。
http://www.tokyocowboy.jp/