心地よい風が一番の贅沢
ししいわハウス 軽井沢
心地よい風が一番の贅沢
ししいわハウス 軽井沢

軽井沢の一角、中軽井沢・千ヶ滝エリア。豊かな自然と爽やかな空気が人気のこの場所に、クリエイティブと食をテーマにしたリトリート・コレクション「ししいわハウス軽井沢(SSH)」があります。2022年7月に、レストランを併設した「ししいわハウス No.2(SSH No.2)」がオープンしました。2019年に開業した「SSH No.1」と同様に、設計は建築家の坂 茂によるもの。森の風を感じるオープンなオールデイダイニングとミニマルな客室の組み合わせは、とっておきの隠れ家のような雰囲気です。コミュニケーションをコンセプトにした滞在が、新しい旅の可能性を感じさせます。

中軽井沢にぴったりの小さくて贅沢なホテル

19世紀に西洋人によって開拓され、多くの経済人や文化人が好んで滞在してきた軽井沢。浅間山を望む冷涼な気候は夏の避暑地として人気を集め、社交の舞台として栄えました。なかでも中軽井沢は、豊かな自然と晴れ間の多い気候がゴルフや登山などのアクティビティにも適しています。上流階級に親しまれた「旧軽井沢」の重厚な雰囲気に比べて若い世代にも人気で、近年ではリゾートエリアとして通年賑わいます。そんな、新しいコミュニティにぴったりのホテルが「ししいわハウス 軽井沢」。パーソナルスペースよりも共有スペースの割合が多く、ゲスト同士が緩やかに交流できる点がユニークです。「コミュニケーションはこれからのホテルに求められる重要なコンテンツ」と、ホテルディレクターのフェイ・ホアン(Huy Hoang)さんは話します。

建築は坂 茂

建築の設計とデザインは、坂 茂(ばん しげる)によるもの。2014年にプリツカー賞を受賞し、世界的に著名な建築家ですが、彼の作品は災害や紛争で行き場を失った人々を助けるシェルターなどテンポラリーなものが多く、実際に宿泊できる空間は貴重です。人道的な建築家として知られ、「脅威から人々を守る」という建築の持つ本質的な役割を感じさせる彼のアプローチは、大自然のなかでいっそう魅力的に感じます。「その土地からインスピレーションを得て、構造に落とし込む坂らしい建築に仕上がりました」とは、株式会社坂茂建築設計のパートナー、グラント 鈴木さん。独自の紙管を用いたインテリアと開放的な空間が印象的で、共有のライブラリーや珠玉のファインフォトグラフのコレクションに知的好奇心が刺激されます。

交流が豊かさを生むNo.1

2019年に建てられた「SSH No.1」は木造の合板を用いたプレハブ工法で、ホテルとして導入されるのは初めての試み。森のランドスケープに沿うように、パネルの構造体を組み合わせて作られた有機的な設計が動線に奥行きを与えています。パブリックエリアのグランド・ルームを中心に3つのリビングルームがあり、その先に3〜4の個室空間が用意されるというユニークな設計。パーソナルな個室、プライベートなリビング、パブリックなグランド・ルームやライブラリーと、コミュニケーションレベルをグラデーションに設定することで、コミュニケーションを誘発する空間となっています。リビングルーム単位で予約するのでプライバシーは確保され、むしろ画一的なホテルにはない贅沢な空間を楽しむことができます。

ミニマルな客室が心地よいNo.2

2022年7月に加わった「SSH No.2」は、1階に12室のゲストルーム、2階には開放的なオールデイダイニングとギャラリースペース、そして「ザ・ワイン&ウイスキー・バー」と隠れ家のような「シガールーム」が備わります。客室はすべて20㎡とミニマルな空間に統一され、檜のバスタブが印象的です。木造の建築を囲むオープンエアの大きなスロープは、森の中の空中回廊といった趣。「No.1とNo.2の共有スペースをシェアすることで生まれる余白が、地域やゲストとのコミュニケーションを誘発します」と、総支配人の荻原 大智(おぎはら だいち)さん。

「わたしたちは個別のニーズに応えつつ、ゲスト全体の体験価値を上げるソーシャル・ホスピタリティをコンセプトにしています。期待値に対してなにかひとつでも上回る体験をご提供したい。そのセレンディピティ(素敵な偶然)を起こすためには、おいしい食事と知的な創造体験、そして適度なコミュニケーションが鍵になるのではないでしょうか。精神的な満足感を得て、明日への活力を生む。そんな価値観をゲストの皆様と共有したいと思っています」

会話が弾む楽しいフレンチ

その舞台にふさわしいのが、「THE RESTAURANT」。エグゼクティブ・シェフの岡本 将士(おかもと まさし)さんによるモダンレンチは、絵画的な見た目と輪郭のはっきりとした味覚、そして意外なテクスチャの組み合わせが新鮮です。御代田のduca farm(ヅカ・ファーム)など、近隣で採れるフレッシュな食材はもちろん、季節や料理に合わせて全国から目利きによる食材を手配しています。

「この場所に来て食材の豊かな魅力を再認識できました。フランス料理のさらなる可能性を求める一方で、ホテルでありながらも “ハウス”と名付けた親しみを感じてもらえるダイニングを意識しています。思わずゲスト同士やスタッフと会話が弾んでしまうような驚き、食事を共にする一体感、そして生産者を含めた大きな自然の繋がりを感じて頂けたら嬉しいです。ランチはご予約も不要なので、季節や時間を問わず気軽に食事を楽しんで頂けるレストランを目指していきたいと思います」

国立公園を散策する朝

浅間山の麓に位置する長倉というエリアは、「上信越高原国立公園」の南端にあたります。ホテルから20分ほど歩くと「千ヶ滝ハイキングコース せせらぎの道」があり、四季折々の豊かな自然を楽しむことができます。わずか2kmとは思えないほど起伏に富んだ散策路はトレイル気分を充分に満喫できます。夏の朝にはひんやりと心地よい空気がなんとも贅沢。ホテルから千ヶ滝へ向かう途中には「セゾン現代美術館」もあり、彫刻作品の並ぶ館内の庭園も魅力的です。他にも「白糸の滝」や「竜返しの滝」、「軽井沢 野鳥の森」など、ホテルを中心にさまざまなアクティビティが充実しています。

豊かさの再定義

今回滞在した「SSH No.2」には、ロバート・フランクやルース・ベルナール、アーロン・シスキンドといった巨匠たちによるオリジナルプリントが展示されています。貴重なプライベートコレクションに触発され、食事の最中のちょっとしたきっかけでゲスト同士にコミュニケーションが生まれます。ときには食後に一緒にワインを楽しんだり、美術館を一緒に巡ったり、思わぬ出会いが人生を豊かにしてくれることもあるでしょう。取材に先立って行われたプレスツアーで、ホテルディレクターのフェイさんが「ささやかな交流には、人間性を回復できる真の癒しがある」と話していたのが印象に残ります。近隣には建築家ユニット「SANAA(サナア)」の西沢 立衛(にしざわ りゅうえ)による「SSH No.3」も建設中。こちらは森の中の数寄屋造りになるということで、これから軽井沢の新しい楽しみが増えそうです。

ししいわハウス 軽井沢

〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147−768
Tel. 0267-31-665

セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://www.shishiiwahouse.jp

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