自分の“なにか”と共鳴する香りを見つける……。香りは今、ファッションやコスメのジャンルに留まらず、日常生活におけるメンタルをサポートするパートナーとして注目されています。なかでも、アルゼンチンで誕生したパフューマリー「FUEGUIA (フエギア)1833」のフレグランスは、身につける人の心を癒やし活力を与える不思議な魅力を備えています。一滴のしずくに込められた香りに対する哲学をはじめ、香りの選び方や夏に向けておすすめのフレグランスについても教えていただきました。
調香師のジュリアン・ベデルさんが創設した、フレグランスメゾン「FUEGUIA 1833」。ブランド名は、イギリスの探検船ビーグル号が自然科学者のダーウィンや海洋探検家のフィッツロイ、そして先住民の少女フエギア・バスケットを乗せて南米を再訪した1833年に由来します。
「FUEGUIA 1833」は創業当時から、植物の花や実だけでなく、根や幹、葉など、香料の原料となる素材を自社で抽出。生物分解が可能な植物由来の原料のみを使用して、独自に配合しています。ツンとするようなケミカルな香りは一切なく、医療従事者など香水が禁止されている職業の人でも「FUEGUIA 1833」の香りなら纏うことができるというのも納得です。ベデルさんが愛する詩やタンゴ、パタゴニアの自然などからインスピレーションを得て生み出す香りは、どこか文学的で植物のエネルギーを感じさせます。
「FUEGUIA 1833」では、ひとつの香水につき100種類以上の植物を原料として調合しています。そこには、香料として着目されたことのない南米の薬草植物も多く含まれているというのですが、詳細はスタッフでさえも知らされないトップシークレット。原料の名前は、ひとつの香水につき3つまでしか明かされないというのですから、その徹底ぶりは見事です。そしてベデルさんは、今でも世界中の香りのする素材や薬効のある植物のリサーチに情熱を注いでいるそうです。「FUEGUIA 1833 Roppongi」ギャラリー・マネージャーの春薗 美樹(はるぞの みき)さんにお話を伺いました。
「ジュリアン・ベデルの取材に何度か同行していますが、特に印象的だったのは、『あなたの調香の先生は誰ですか?』と問われたときに『植物です』と答えていたことですね。こどもの頃から本当に植物が大好きだったようです。葉っぱを潰してみて、手に残る香りや土の香りを楽しむようなこどもだったと聞いています。彼は香水を作りたいから『FUEGUIA 1833』を始めたのではありません。大好きな植物を使って何か表現できないかと思って研究を始め、結果としてフレグランスにつながったのです。彼にとって、香水を作ることは自然界そのものをキュレーションすることであり、植物の力で皆さんを元気にすることなのだと思います」
「FUEGUIA 1833」には、現在約120種類の香水があります。人気が高く、代表作といえる香りのひとつが創業当初に発表された「ダーウィン」。その名のとおり、パタゴニアで「種の起源」を起草したチャールズ・ロバート・ダーウィンにオマージュを捧げた香り。複雑でウッディな香りは、膨大な観察記録やスケッチ、採集した植物や化石のコレクションに囲まれたダーウィンの船室を表現しています。
また、“フェロモンの模倣”をテーマにした「ムスカラコレクション」も日本では人気。官能的な効果を生み出すと言われるムスクに加えて、アマゾンやアンデス地方の伝統医療に用いられていた催淫効果をもつ植物にインスピレーションを受け、性ホルモンなどさまざまな医学研究に基づいて作られています。「ムスカラ フェロ ジェイ」と、「ムスカラ フェロ ジェイ」をベースにローズやパチュリなど、香りを一つだけ組みあわせた13種のラインアップです。
夏に向けて特におすすめのフレグランスは、2022に年発表された「アルマ」とのこと。「メノルカ島の眩しく降り注ぐ太陽とミネラルが豊富な土壌、異国から降り立ち根を下ろした植物の数々から、青春を呼び起こさせる香りとして提案したものです。カモミールと島の特別な品種であるロメロ・ラストレロが、アグレッシブでアロマティックな香りを演出します。涼し気で、自分の周りだけ気温が下がったように感じるくらい爽やかさを感じる香りです。好感度が高く、職場で香りを褒められたとおっしゃる方も多いですね」と、春薗さん。
店舗のひとつである「FUEGUIA 1833 Roppongi」には、88個の香水ボトルがまるでアートギャラリーのように美しく陳列されています。ジュリアンさんの「1㎜も狂わず整頓してほしい」という願いが形にされているといいます。加えて、香りのテスティングにフラスコを使用するというのも、実にユニークです。
「『FUEGUIA 1833』の香りの多くは非常に微細な分子で表現されています。そのため、ムエット(試香紙)では適切に香りを聞くことができないのです。朝一番にフラスコ内に一吹きしています。フラスコにすることで、香りのラストノートを知ることもできます」
自身も400個ほどのフレグランスを所有しているという大の香水好きの春薗さんは、香り選びのエキスパートでもあります。
「どんな香りが好きなのか言語化するのは難しいので、こちらで2択の質問を投げかけて一緒に理想のフレグランスを探すことが多いですね。例えば、香りに男性的な要素を入れたいですか? と聞いて、YESならば“たくましい”のと“セクシーな雰囲気”のどちらがいいですか? とさらに質問します。そして答えが“たくましい”ならば、爽やかさのあるウッディなどっしりとした香りのフレグランスを3種類ほどご提案して、どれがいちばん好みかを聞いていきます。またそこから派生させて別の香りをご紹介したり、途中の選択肢まで戻って香りの方向性を模索することもあります」
なかには、香りの用途が明確なお客様もいるそうです。
「女性のお客様に多いのが、好きな男性とデートをすることになったので、彼を振り向かせるためのフレグランスを探したいというリクエストです。その時は、その意中の男性の好みや性格を聞きますね。知的なのかワイルド系なのか。読書が好きなインテリジェンスを感じさせる男性でしたら、知的な香りを身につけた方が共感を得られる可能性が高いですよね。例えばバベルの図書館をイメージした『ビブリオテカ デ バベル』をおすすめします。スモーキーで甘いニュアンス、神秘的な印象を演出します」
ときには「香水で仕事運をあげたい」という相談に乗ることも。
「その場合も、細かくヒアリングします。例えば、どちらかというと仕事の速度が遅いからスピーディに捗らせたいのか、逆にせかせかと空回りしがちなので落ち着きたいのか。せっかちさんで落ち着いたほうが良さそうな場合は、白檀の入った『ラ ホベン ノーチェ』。やる気が入らなくてスイッチを入れたい時は、前述の『ダーウィン』は鉄板です。香りを纏うことで仕事のやる気が出るとか、リラックスできるとか、官能的な気分になれるとか、香水を通じて何らかの効果や意味をもたらすお手伝いができたらうれしいですね」
自分の叶えたい夢や日常と共鳴する香りを見つけることで、人生が思いがけず開けることもあるでしょう。この夏は、「FUEGUIA 1833」で香りの冒険をしてみるのはいかがでしょうか。
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://fueguia.jp/
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