未曾有のパンデミックを経てもなお、わたしたちの旅への想いは増すばかりです。とはいえまだまだ自由気ままに旅することが叶わないいま、さまざまな理由からクルーズトリップが注目されています。快適な客室と共有空間、そして一流シェフによる美食と数々のエンターテインメントが一体となった豪華客船での滞在は、旅に新しい価値を提供しています。30年以上にわたるキャリアでクルーズの未来を見据えるオーシャニアクルーズ&リージェント セブンシーズクルーズのアジア太平洋地区シニア・ヴァイスプレジデント兼マネージング・ディレクター「Steve Odell(スティーブ・オデル)」さんに、これからのクルーズの魅力について伺いました。
世界保健機関(WHO)によれば、新型コロナウイルスによるパンデミックも少しずつ収まりつつあり、予断は許さないものの世界は動き出しているようです。
「20年以上日本とはパートナーとして仕事をしていますが、今回の来日は2年半ぶりとなりました。欧米ではパンデミックからの影響もだいぶ回復してきましたし、慎重な姿勢をみせるアジア諸国でも状況は好転しつつあると感じています。ただ、すべてが元通りに戻るということではありません。私たちは20ヵ月もの休止期間中に船の改修工事やメンテナンスだけでなく、感染対策も含めた医療体制を大きく改善することができました。いまやもっとも安全な旅行手段のひとつといえるでしょう。わたしはオーシャニアクルーズとリージェント セブンシーズクルーズというふたつのブランドを担当していますが、どちらのプログラムも予想以上の反響です」
リージェント セブンシーズクルーズで世界一周するプログラムは、発売からわずか3時間で完売したとニュースになりました。
「2022年6月15日に発売する前に完売した『Away in Wonder』ですね。これはリージェント史上でもっとも反響大きかったプログラムといえるでしょう。このプログラムはセブンシーズマリナーで行く150泊の世界周遊プログラムで、アメリカのマイアミから5大陸の97寄港地を訪れ、25か国を巡ります。予想外だったのは50%近くが初めてのお客さまだったことです。いままで超大型客船でクルーズをされていたお客さまが、より少ない人数でより広いスペースを確保できるクルーズを求めているのが伺えます。さらに、長く、遠くまで快適に安全に旅行をしたいというニーズが、わたしたちのコンセプトにフィットしたのだと思います」
オーシャニアクルーズとリージェント セブンシーズクルーズはともに業界をリードするブランドですが、それぞれの体験にどのような違いがあるのでしょうか?
「このふたつのブランドに共通するのは、プレミアムマーケットのニーズに応えているということ。オーシャニアは洋上の美食をひとつのテーマとし、エクスカーション(寄港地)もユニークなプログラムが用意されています。世界中を行き尽くした富裕層でも満足できる上質で個性的なクルーズをお届けしています。リージェントは旅慣れた比較的若いカップルも多いのが特徴です。彼らのライフスタイルにフィットしたクルーズブランドといえるかもしれません。プラントベースのメニューやレジデンススタイルのデザインなど、快適な空間と最高の体験を求めるゲストのためのクルーズです」
それぞれのブランドを象徴するクルーズ船が完成したようですね。それぞれどのような特徴がありますか?
「オーシャニア クルーズ7隻目の豪華客船として就航する『ヴィスタ』は、12カ所のレストランとともに洋上で最高の美食を堪能するための船です。ゲストに対してスタッフの割合がもっとも多く、パーソナライズされたサービスと邸宅のような滞在空間が魅力です。ラルフローレン ホームで統一された客室もあれば、お一人様でもご利用頂ける快適な客室も新設され、幅広いニーズに応えることでしょう。
一方、リージェント セブンシーズクルーズの『セブンシーズ グランデュアー』は、ラグジュアリークルーズをもっとも進化させた最新のクルーズ船です。わずか750名様のゲストのために用意された空間はStudio DADOという気鋭のデザイン集団によるもので、感性と好奇心を刺激します。しかも、すべてがクルーズ代金に含まれるオールインクルーシブなので、もっとも快適な旅のひとつとなるはずです」
まだ日本ではクルーズ旅行を経験したことがないという人も多いようですが、コロナ禍を経て注目が集まっています。どのような体験をして欲しいと思いますか?
「わたしたちのブランドでは、2023年から24年にかけて東京発着のクルーズが17回予定されています。クルーズは鞄をひとつ持って乗り込むだけで、あなたを世界のどこへでも連れて行ってくれます。エアラインが高騰しているいま、多くの人が行き交う交通手段よりもクルーズは安全で快適な選択肢になり得るとわたしたちは考えています。どのクルーズに参加するかは好みによりますが、人生の貴重な時間を旅に費やすのに年齢は関係ありません。ぜひ、この機会に多くのゲストにクルーズを体験していただきたいと思います」
「上質な空間や豪華な食事だけでなく、煩わしいパッキングや移動から解放されることで旅から得られる体験が増えます。姪っ子の家族を連れてスペインやイタリア、モンテネグロなどの地中海をまわるクルーズに行きましたが、とても刺激的な異文化体験を一緒にしました。でも、自分で荷物を持って、飛行機や列車を手配して行こうと思ったら大変ですよね(笑)」と話すスティーブさん。家族が増えて旅行を躊躇していたわたしには、なんとも魅力的な話。いつでも行ける、いつかは行きたい、といっている間にあっという間に歳を取り、気がつけば旅をする機会も体力もなくなってしまうかもしれません。準備が整うまで先延ばしにするよりも、まずは旅の計画を立て、それから逆算するくらいがちょうど良いのかもしれませんね。来年はしっかりと休暇を取って、クルーズへ出掛けてみませんか?