理想の一脚を求めて
KAMADA
北欧ビンテージ家具コンシェルジュ
理想の一脚を求めて
KAMADA
北欧ビンテージ家具コンシェルジュ

フィン・ユール、ハンス J. ウェグナー、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセンなど、家具好きならずとも一度は目に、耳にしたことのあるデニッシュ・モダンの巨匠たち。「KAMADA」では、自ら現地のオークションへ直接足を運び、貴重なオリジナル作品をオークションで手に入れ、適切な修繕と修復を行うことで作品の価値を保ちます。それらの名作がずらりと並ぶショールームは圧巻です。美しいインテリアは貴重な芸術品でありながら、心地よい道具でもあることを教えてくれます。なぜ北欧ヴィンテージ家具は世代を超えて愛用されるのか。北欧ヴィンテージ家具を専門に扱う鎌田 剛さんに、その魅力を伺いました。

椅子は小さな建築

「建築家を目指していましたが、空間を彩る家具の魅力を深く追求したいと思うようになり北欧ヴィンテージ家具の本場デンマークへ足を運ぶようになりました」と話すのは、家具コンシェルジュの鎌田 剛(かまだ つよし)さん。都内にショールームをかまえ、そこにはマニアならずとも垂涎の北欧ヴィンテージ家具が並びます。構造設計とデザインを学んでいた鎌田さんにとって、美しい椅子は「逃げも隠れもできない造形物であり、人間の繊細な感覚を満足させる機能と美しさを兼ね備えたもの」だったと言います。

「設計事務所に勤めていた私にとって、椅子は身体全体で感じることのできる最小の建築のように思えました。椅子の魅力をより多くの方に伝えたい思いが強くなり私は事務所を辞め、インテリアショップの立ち上げに携わりました。買い付けの仕事でビバリーヒルズの邸宅を訪れたとき、そこに並んでいた家具に圧倒的な格の違いを感じたのです。それから私は、本当に美しい家具と、それを求める人のために人生を捧げようと決意しました」

美しく、実用的なモダンデニッシュ

黄金期のデンマーク家具は、なぜこれほど人気なのでしょうか。
バウハウスに影響を受けたデザイナーや建築家は、良質な木材と伝統的なクラフトマンシップを大切にしながら、生活に馴染む美しい家具を生み出していきます。その時代は1940年代から60年代のわずか30年ほど。アメリカでは戦後の復興による好景気で巨大なマーケットが生まれ、フィン・ユールのデザインした椅子が美しいと評判になり、モダンデニッシュは世界中から注目を集めます。ハンドクラフトの温もりを感じさせながらも実用的な芸術品は、工業化が加速するアメリカの富裕層にとってどこか心と身体が休まる存在だったのかもしれません。デンマーク家具は一躍ブームとなりましたが、イタリア家具などにトレンドが移行したことでそのブームは落ち着いていきました。

銘品を求めて

家の中で長い時間を過ごすデンマーク人にとって、家具は財産で、大切に受け継がれていくものです。そうした良質なヴィンテージ家具が海外のオークションでは取引されています。
「独立当時からデンマークのオークションに何度も参加し、まさにクライアントの目となり、足となって買い付けていました」と鎌田さん。出品される前にコンディションを確認するプレビュー(下見)で実物を確認し、細部のコンディションや木目の雰囲気など詳細なレポートを作成します。「これは!」という逸品があれば、顧客とエスティメート(落札予想価格)を予想し、世界中から入札が集まるなかで手を挙げ続けることができれば、その一脚を手に入れられるのです。

あるものから選ぶ必要はない

KAMADAではいまあるストックのなかから選んで購入することはもちろん、日本では流通していないモデルを手に入れるために、デンマークやシカゴなど、世界中のオークションから情報を仕入れて顧客に共有しています。モダンデニッシュの習作を生み出した巨匠デザイナーの回顧展などで新たにその魅力にとりつかれた愛好家も多く、年々北欧ヴィンテージ家具の市場は盛り上がってきています。

「日本では希少なモデルがなかなか入ってこないという現状があります。しかし、気に入ったモデルはオークションで探すこともできますし、自分が適正だと思う金額で競り落とすこともできます。誰かに用意された中から選ぶだけではなく、欲しい一脚を探して手に入れる。その出会いも含めてヴィンテージ家具の魅力だと思います」

価値を継承し、次世代に残す

ハンス J. ウェグナーによるコンフォートチェアの名作「パパベアチェア」の市場価格は、2022年5月の時点では250万円ほどで取引されているそうです。しかし、「2012年には150万円、さらにその前は80万円ほどで手に入った」といいます。現在では入手困難となったチークやローズウッド、マホガニーが贅沢に使われ、経年変化によって味わい深い表情を魅せるオリジナルの一級品。希少価値の高いヴィンテージ家具は、日常的に使っても良いものでしょうか?

「家具は使ってこそ、その価値を発揮します。幸運にも気に入った一脚を手に入れることができたら、座って、触って、眺めて、ぜひその魅力を堪能して欲しいと思います。適切なタイミングでメンテナンスをしていれば、オリジナルの価値を損なうことはありません。好みやライフステージが変化し、次の一脚を探し始めたとき、ただコレクションしておくだけでなく市場に循環させることも大切です。そのお手伝いも私たちの重要な役割だと思っています」

後世に残る家具づくりへの挑戦

これだけ北欧ヴィンテージ家具に精通した鎌田さんですが、最近は現代作家にもスポットを当てています。
「30年後のNV45(Finn Juhl/フィン・ユール)」と期待を込めて作家の中村 達薫(なかむら たつしげ)さんと共作したのが「Easy Chair P10」。ゆっくり腰掛けると自然に肘が落ち着き、背もたれにじわりと体重が分散されていきます。コーヒーでも飲みながらじっくりと読書をしたくなるような座り心地に、同行したカメラマンも「欲しい」と唸るほど。中村さんの卓越した彫刻技術から生み出される一脚は、力強いフォルムで見る人の目を奪い、その繊細なディテールが強く印象に残ります。

「巨匠の名作も魅力的ですが、いま活躍している作家の素晴らしさも評価されるべきではないでしょうか。未来に名作を残すための一助になれば嬉しいですね。お客様のなかには、P10に座られて別荘のダイニング一式をオーダーしてくださった方もいます。家具に本質的な価値を求める方にとって、名作に過去も未来も関係ないのだと思いました」

暮らしの豊かさを想う

ショールームで名作といわれる家具に囲まれていると、生活から生まれた美学を感じます。フィン・ユールの建築的な造形美やウェグナーの職人魂は、時代を超えて私たちの感性を刺激し、時に安らぎを与えてくれるのでしょう。「名作を楽しむことができるのは、あとから生まれてきた私たちの特権」という鎌田さんの言葉は、ヴィンテージ家具の面白さを教えてくれました。

この椅子に座って子供に絵本を読んであげたいな。こんなデスクで仕事ができたら、さぞはかどるだろうな。窓辺にこの椅子を置いてゆっくりコーヒーが飲めたら幸せだな。実際に触れ、じっくり眺めることのできるショールームで、美しい家具のある暮らしに想像を膨らませてみてはいかがでしょうか。

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