盛り上がる兜町の“小さな複合施設”
K5
ケーファイブ
盛り上がる兜町の“小さな複合施設”
K5
ケーファイブ

新たな風が吹き込まれ再活性化が進む兜町。元銀行をリノベーションして誕生した「K5」は、そのシンボルとして2020年に立ち上がりました。金融街の中心地に宿泊施設を備えた“小さな複合施設”は、時にビジネスの拠点として、時に旅の目的地として、そして時には才能や個性が出会うハブとして地域を盛り上げています。

©︎平和不動産株式会社

盛り上がる兜町

日本橋兜町は、渋沢 栄一の邸宅があったことから日本で最初の銀行や証券取引所が誕生した街です。「東京証券取引所」の裏手にK5がローンチしたのは2020年2月のこと。その直後から世界はパンデミックに見舞われ、手探りながらも進化を続けてきました。同年8月にオープンしたナチュラルワインの「Human Nature(ヒューマンネイチャー)」など、個性的な飲食店が集まる兜町8番/9番エリア。そして、2022年7月には新たなコンベンションスポット「KABUTO ONE」がオープンするなど、街全体が少しずつ生まれ変わっています。この「K5」のコンセプトは、「Revitalize - 新しい命を吹き込む -」。まさに、いまの世の中に必要な視点です。

街を再起動させる装置

「証券取引の電子化によって衰退した街に新たな役割を見出し、次の世代へと再起動させる」と話すのはHOTEL K5ジェネラルマネージャーの渡邊 加奈子(わたなべ かなこ)さん。実家もホテルを経営しているという生粋のホテリエです。

「K5はパンデミックの前から計画されたプロジェクトですが、結果的に非常に今日的なコンセプトや役割を持っていると感じています。街だけでなく、その場所に関わる人々も再び活性化させ、新しい交流を生むことでセレンディピティをおこしていく。リアルな東京を繋ぐ点のひとつとして、ホテルはメディアやトランスレーターのような機能性が必要だと考えています。その編集された情報や翻訳されたコンテンツを求めて人が集まってくれるように、ミクロとマクロの視点で体験価値を高めていくのがK5の役割だと思っています」

空間デザインは北欧のCKR

日本で最初の銀行としてこのビルが建てられたのは1923年のこと。K5というミニマルなネーミングは、ベースとなった「兜町第5平和ビル」から付けられました。1階から4階にかけて徐々に天高が高くなる不思議な構造も金運や風水にちなんだという説もあり、畏怖堂々とした風格とともに次の100年を見据えています。空間デザインを手掛けたのはスウェーデン・ストックホルムを拠点に活躍する「CLAESSON KOIVISTO RUNE(CKR)」。内部は「Yard Works」による植栽が巧みに配置され、曖昧な境界線で繋がっているのが印象的です。柾目の杉板やカラフルなファブリック、真鍮やタイルなどの素材選びが独特で、重厚な外観とは一転、心が浮き立つような空間です。所々に軒先をモチーフにしたレイアウトなども垣間見られ、下町の風情に触れたようなノスタルジーも感じさせます。

金融街のオアシス「HOTEL K5」

複合施設であるK5の2階~4階 を占めるのが、「Design Hotels™」にも加盟している「HOTEL K5」。全20 室からなる客室は、CKRがデザインしたインテリアと絶妙なコントラストを生み出しています。1室のみ用意されたスイートルーム「Loft」は4.5mの天井高と80㎡の空間が金融街の中心とは思えない開放感。ダイニングテーブルとキッチンも備わり、長期滞在でも快適に過ごすことができそうです。各部屋で随所に見られる藍染めの布は、渋沢 栄一の実家が藍染めの原料を育てていたことにちなんだもの。一見不揃いに思える要素が融和した空間が刺激と寛ぎを同時に与えてくれる、ハイエンドなブティックホテルです。

コーヒーの魅力を凝縮した「Switch Coffee」

1階のレセプション左手にあるのが「Switch Coffee」。目黒や代々木八幡でロースターもかまえる人気のコーヒーショップで、シングルオリジンのドリップコーヒーが人気です。ロビーのないK5にとって、ラウンジのようなスペースでもあります。「気軽に立ち寄って頂ける日常的なコーヒースタンドでありながら、美味しさの裏側にあるストーリーと根拠をしっかりと伝えるお店でありたいですね」と、バリスタの西島 純一(にしじま じゅんいち)さん。

「スペシャルティコーヒーを気軽に楽しんで頂きたいので、まずはシングルオリジンで産地や品種の個性を感じて欲しいです。時期によってはワイン作りを応用した“カーボニックマセレーション”で精製した希少な品種やデカフェもご用意しているので、コーヒーの魅力に触れて頂けると思います」

一人の時間を楽しむライブラリーバー「Ao」

レセプションを挟んで右手にあるのが「Ao」。新宿ゴールデン街のレモンサワー専門店「OPEN BOOK」などを手掛ける田中 開と、奥渋谷の「FUGLEN TOKYO」で活躍したバーテンダー野村 空人による不思議な空間です。渋沢 栄一の雅号(ペンネーム)である青淵(せいえん)から名付けられたネーミングとは裏腹に、店内は補色の赤で統一されています。壁に並ぶ書籍と大きな窓が印象的で、インパクトのある内装でありながら不思議とくつろげます。バーテンダーの西村 和也(にしむら かずや)さんにお話を伺いました。

「街のバーとしてはもちろん、隠れ家的なコミュニティスペースとして機能するようにお茶などのノンアルコールも充実しています。わたしはもともと楽器を作る学校に通っていたのですが、バーってどこか音楽的な要素を強く感じるんです。ライブ感があって、スタンダードと革新が混在するというか。お茶やハーブを使ったカクテルもあれば、スパイスを使ったノンアルコールカクテルもある。そこにオーセンティックなマティーニやシングルモルトが並ぶのが、バーの面白いところ。これからこの場所でどんなことが起きるのか、楽しみですね」

ビールで繋がるコミュニティ「B」

地下にはアメリカクラフトビールのパイオニア、ブルックリン・ブルワリーによるビアホール「B(ビー)」があります。ビールでブルックリン再興のきっかけを作ったスティーブ・ヒンディが日本橋兜町の再活性化に共鳴し、世界初のフラッグシップバーが誕生しました。マネージャーの本多 克行(ほんだ かつゆき)さんによると、「日本ではビールを飲むシーンが多様で、新しいビアカルチャーとコミュニケーションが生まれている」と言います。

「ここでは10種類以上のタップがあり、IPAだけでも飲み比べを楽しんで頂けます。多様なビールの魅力に会わせて、料理はタコスを中心にラインナップしています。平日は近隣のビジネスマン、週末は遠方からもお客さまがいらっしゃいます。いろんなイベントを開催していますが、先日クラフトビールのセミナーに90歳のおばあさんが参加してくれたのは嬉しかったですね。金融街ということもあり英語も日常的に飛び交っています。なかなか海外に行けないいま、旅行気分で遊びに来る方も多いですよ」

TOKYOを感じる場所

K5には目黒の人気レストラン「Kabi」の姉妹店「caveman(ケイヴマン)」などもあり、TOKYOの個性がギュッと凝縮されたようなダイナミズムを感じます。広報を担当する大倉 皓平(おおくら こうへい)さんは、その魅力について「個性的な人がイーブンな関係を築き、いつまでも完成しない面白さ。そしてどんどん広がる輪のハブ的な機能を持つのがK5なのでは」と話します。この街のリバイタライズ(再活性化)プロジェクトは、まだまだ始まったばかり。日本橋兜町にはこれまであまり縁がなかったのですが、東京のエアポケットのような居心地の良さがクセになりそうです。

K5

〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町3−5

各店舗、ホテルのご予約は下記公式サイトをご確認ください。
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://k5-tokyo.com

InstagramPTマガジンをインスタグラムで見る