「beruf baggage」は、自転車乗りが考え抜いた機能性が特徴のラゲッジブランド。自転車に乗るときだけでなく、旅や仕事などさまざまな生活のシーンにフィットするラインアップが魅力的です。創業から19年が経ち、シーンを取り巻く環境も大きく変化しました。メッセンジャーバッグからスタートしたブランドは、創業から20年を目前に控えたいま、何を見据えているのでしょうか。
ビジネスシーンのカジュアル化に伴い、ジャケットを着ながらリュックを背負う姿も一般的になりました。アウトドアブランドを筆頭に、D2Cの機能的な鞄ブランドも増えてきています。「beruf baggage」は2006年にスタートしたラゲッジブランド。道路交通法と駐車場法の改正により、バイクを含む車両の駐車違反に対する取り締まりが強化された年で、ピストバイクやクロスバイクなどの自転車カルチャーが加速しました。プロの意見を取り入れたメッセンジャーバッグは人気となり、栄枯盛衰の激しい業界において現在も根強いファンに支えられたブランドへと成長しました。間もなく20周年を迎える現在、そのラインアップは当時と少し雰囲気が変わってきたようです。
代表の佐野 賢太(さの けんた)さんは埼玉県出身。上京して間もなく、自転車でどこでも行ける都会の気軽さを満喫するべく、理想の鞄を求めてberuf baggageを立ちあげます。「カルチャー的にも自転車が盛り上がってきた時期で、ラゲッジブランドを作りたいという気持ちは自然な流れでした」と、当時を振り返ります。
「もともとファッションが好きで、当時は西新宿から世田谷のオフィスまで自転車で通っていました。遊びでも買物でも、どこへ行くにも自転車が便利だったのです。実家が鞄の企画製造を手掛ける会社を営んでいたこともあり、街乗りに相応しい鞄に興味が湧いていました。そこで、プロユースの鞄がどういう仕様なのかを知るために、当時多くのメッセンジャーが在籍していたT-serv.に直接問い合わせたのです。有り難いことに広報とプロのメッセンジャーに取材をさせていただき、最初の鞄が誕生しました。彼らとは今でも付き合いがあり、来年の20周年に向けた新しい企画にも参加してもらう予定です。ただ、年齢的にもいい大人になってきましたし、自分もミニマルなデザインを好むようになってきたこともあり、beruf baggage も10年ほど前から機能やデザインを変えた現在のスタイルで展開しています」
テレワークや多拠点生活など、暮らし方や働き方が多様になった現代のニーズに合わせて誕生したのが「URBAN EXPLORER PRO」モデルです。ブランドの最上位モデルとして、これまで培ってきた知恵と技術が詰め込まれています。最大の特徴は2つのコンパートメント。フロントは大きく開き、着替えや上着などの衣類をはじめ、自由度の高いパッキングスペースとして約14Lの容量を確保しています。PCやタブレットなどのデバイス関係は、重心がより身体に近いもうひとつのコンパートメントに集約。16インチ相当のPCに加え、14インチ相当のタブレットやモバイルディスプレイも収納できる専用のスリーブポケットを備えます。さらに、マグネット式でワンタッチの着脱ができるテックポーチも付属。荷室の上部に固定されるため鞄の下部に荷物がたまるストレスとも無縁です。空いた下部の空間は、背負った状態のままアクセスできる左右2つのサイドポケットになっており、移動時のストレスを極限まで減らしてくれます。「撥水性」「耐久性」「防水性」「軽量性」を備えたモビリティツールです。
出張の多いジビネスマンに便利なのが、着脱可能な3つのユニットから構成される「ULTIMATE 30+」。それぞれのユニットを自在に組み合わせることで、サイズや機能が異なる3通りのバックパックに変化します。鞄の顔となるA層は小物を効率よく収納するためのオーガナイザーユニット。中間に位置するB層は、ロールトップで開閉するストレージエリアで、衣類などかさばる荷物の収納に便利です。そしてC層はPCなどのガジェットやビジネスツールを収納するメインコンパートメントという構成です。例えばビジネストリップではA+B+Cの構成でホテルにチェックインし、着替えなどを収納したBを取り外してA+Cの構成でスマートに打ち合わせへ出掛ける。翌日に自由時間が確保できれば、A+Bの構成でハイキングやレンタルサイクルで街の散策に出掛ける。帰宅時にはBだけホテルから自宅に送って、そのまま出勤することも可能です。各層は2本のコイルファスナーで結合されており、その発想の柔軟さには驚きました。夏場の自転車通勤やジム通いの荷物を効率よく仕分け、シーンに合わせて余分なスペースを切り離すことができるバックパック。A3サイズが収納できる仕様もうれしいポイントです。
よりビジネスシーンに特化したモデルが「URBAN COMMUTER 2x3WAY」。リュック、ブリーフケース、ショルダーバッグの3WAY仕様で、先ほどの「ULTIMATE 30+」と同じ3つのコンパートメントを組み合わせることができます。2層ではスマートな20Lのビジネスバッグとして、3層を結合すれば出張にぴったりの28Lに変形します。こうした大胆な発想にも脱帽ですが、リュックでもショルダーでもPCが取り出しやすいようにスリーブが2方向から開閉できる仕様や、ポケットの配置、オーガナイザーのサイズ感も考え抜かれた設計です。こうしたアイデアは、佐野さん自身が海外の展示会などへ出掛けた際に、大きい荷物を持ち歩くストレスから生まれたもの。仕事道具とデジタルガジェット、着替えなどを効率良く持ち運び、現地ではシーンに合わせて最適なボリュームで移動する。デジタルノマドやテレワークが浸透した現代にぴったりの発想です。
デザインはモダンに進化しても、創業時から一貫しているこだわりがすべて国内で製造すること。現在は日本有数の鞄の産地として知られる兵庫県豊岡市の工場で製造しています。「豊岡鞄」として認定を受けるためには素材や縫製など、7つの品質基準をクリアしなければなりません。その狙いについてうかがいました。
「やはり物作りの話がちゃんとできる相手と作りたいという想いがあります。そのためには日本の工場のほうが当然スムーズですし、やはり技術力も高い。そのぶん、あれもこれも詰め込んでしまうとコストも増えるわけですが、その制約がクリエイティビティに繋がると思っています。幸い、うちのブランドはお客様との距離が近いこともあり、どんなシーンで使ってほしいか具体的にイメージすることができるので、リアルなニーズをキャッチアップできていると思います。生活の中の道具として、機能と品質をデザインに落とし込んでいく。これはいままでもこれからも変わらないブランドの姿勢だと思います」
「『beruf』とはドイツ語で“職業”や“使命”を意味する言葉で、“自転車のある生活を楽しむ全ての人々をサポートする製品を提供すること”を使命としてきました」と、佐野さんは続けます。自転車で移動する際には、身軽さを優先して身につけるモノや荷物を最小限に厳選します。同時に、さまざまな危機や不測の事態を想定してあらゆる準備もしていく。この思考プロセスは現代を生きるビジネスパーソンの日常生活やビジネストリップにも通ずるものがあります。スマホもなく、デジタルノマドもいなかった20年前に掲げられたミッションは、変化の激しい現代にこそ一層頼もしく感じます。何を持ち歩き、何を置いていくべきか。迷ったら一度、ラゲッジから見直してみるのも良いかもしれません。
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