「THE NOMAD Mt. YATSUGATAKE」(ザ ノマド 八ヶ岳)は、南アルプスの絶景を望む広大な敷地をたった3組のゲストで堪能できる宿泊施設。滞在に必要な最低限の設備を揃えたトレーラータイプのタイニーホテル1棟と、グランピングテントが2棟だけという開放的なロケーションが実にダイナミックです。ヒューマンスケールのミニマルな空間とホテルタッチの快適な滞在は、ありそうでなかった“ちょうど良い”アウトドア体験。八ヶ岳をさらに魅力的にしてくれる近隣のコンテンツと合わせてご紹介します。
北岳や甲斐駒ヶ岳など、南アルプスの雄大な絶景を望む八ヶ岳。その南側に位置する14,000㎡もの広大な敷地が「THE NOMAD Mt. YATSUGATAKE(以下、NOMAD)」です。中央自動車道の「長坂」IC から約15分という立地は、都内から約2時間で辿り着ける絶好のロケーション。また、日本一標高の高い位置を走る路線として有名なJR小海線の「甲斐小泉」駅から徒歩約5分という駅チカ施設でもあり、ふらりと小旅行気分で本格的な大自然を堪能することができます。標高1,000メートルほどの開けた土地には天然の小川が流れ、鳥の声とときおり走る電車の音がなんとものどかな気分にさせてくれます。
オーナーの大野 修一(おおの しゅういち)さんは、ハイアットグループをはじめ東京のラグジュアリーホテルで25年ほど勤めたホテリエ。長年さまざまなゲストに都会の魅力を伝えてきましたが、50歳という節目を迎えるにあたって「人生の後半は自然の魅力を伝えたい」と、THE NOMAD HOTELS & OUTDOORS(ザ ノマド ホテルズ&アウトドアーズ)を立ちあげます。
「もともと大のアウトドア好きというわけではなかったんです。ただ、自然の中にいるとやっぱり気持ちいいし、豊かな四季に育まれた日本の素晴らしい自然環境や風土はもっと知られてもいいと感じてました。そこで、最初は四季に合わせて移動できるホテルがあったらおもしろいかなと思いました。良い季節と絶好のロケーションを求めて旅するホテル。それで、遊牧民=ノマドと名づけ、自然にとけこむような開放的なデザインのトレーラータイプのタイニーハウスを特注で製作してもらいました。結果的にこの場所に出合って、一年の半分以上をこの場所で過ごしているのですが、自分自身が穏やかな時間を取り戻せたことに気付きました」
NOMADにはトレーラーハウスをベースにオリジナルで製作されたコテージのようなタイニーハウスが2棟あります。1棟はレセプションを兼ねた管理棟で、Wi-Fi環境の整ったカフェ「the eight」としても機能します。もう1棟が22m²(ロフト含む)のコンパクトなゲストルーム。三面がガラス張りになったベッドスペースは、寝転がると大自然に解き放たれたような開放感に包まれます。あくまで“車両”のため基礎工事などが不要で、環境への負荷を最小限に抑えたサステナブルな客室です。冷暖房はもちろん、トイレやシャワーといった水回りやミニキッチンまで完備。滞在に必要な設備はしっかりと整っています。夜は地元で採れたオーガニック野菜や、近隣の林で罠猟によって捕獲された新鮮なジビエをBBQで頂きます。食後にロフトの上でゴロゴロしていると、まるで星の動きを全身で感じるような大自然への没入感がたまりません。
「夏の土砂降りのなかでトレーラーハウスに滞在されたお客様が、“自然の迫力を、あえてトレーラーというミニマル且つ安全な環境から堪能できて新鮮だった”ととても喜ばれまして。自然の魅力って晴れていることだけじゃないんだと教えてもらいました」と、印象に残ったゲストについて話してくれました。そして、より自然をダイレクトに感じたいゲストに人気なのがベルテント。英国を代表する「Camping with Soul」社が開発したキャンバス生地のグランピングテントで、ベッドのタイプが違う二部屋を用意しています。冷蔵庫や電気ケトル、ポータブルの温冷風機を完備しており、滞在は快適そのもの。水回りはバスアメニティやドライヤーが揃っている「トイレ・シャワー棟」も用意されているので、衛生面でも快適です。また、近隣には天然の温泉施設がいくつもあるので、そちらを利用するのもおすすめです。
NOMADは野生のキジが現れるようなダイナミックな環境ですが、自然の魅力は敷地内にとどまりません。JR小海線「甲斐小泉」駅の近くから伸びている「信玄棒道(しんげんぼうみち)」は、全長8kmほどのハイキングコースです。武田信玄が築いた軍用道路で、川中島の戦いなど信州への侵攻に使われていたと伝えられています。名水百選に選定されている「女取湧水(めとりゆうすい)」の源泉を経て、「小淵沢カントリークラブ」を通り富士見町(長野県)まで続く一本道で、それほど起伏も激しくないので散策にはぴったり。西国三十三所や坂東三十三所の霊場を模して観音様が残され、往時を偲ばせます。木漏れ日の差す新緑の道は静かでひんやりと心地よい風が吹き抜けていました。女取湧水は八ヶ岳の雪解け水がゆっくりと時間をかけて磨かれたもの。ほどよく汗をかいた身体に柔らかな水が染み渡ります。帰りは小淵沢駅から小海線で帰ってくるのも良いですね。
「近隣にも魅力的な場所がたくさんある」と、大野さんがおすすめしてくれたお店にも行ってみました。八ヶ岳南麓の玄関口のひとつ「長坂IC」のすぐそばにある「sundaysfood(サンデイズフード)」。天井の高い開放的な空間には柔らかな光が差し込み、おいしそうな料理の音とおしゃべりの声が心地よく響きます。オーナーの大給 亮一(だいきゅう りょういち)さんは、子育てをきっかけに地元である神戸から八ヶ岳へ移住してきました。
「もともと神戸で飲食店を営んでいましたが、子育てをするのにより良い環境を求めて移住してきました。自宅は清里の方なのですが、八ヶ岳の入り口においしい料理と心地よい音楽のある場所を作りたいと思ってこの場所を見つけたんです。お好み焼きやそば粉のガレット、パンやケーキなどの“粉もの”料理が中心で、コーヒーやビール、ナチュラルワインと一緒に楽しんで頂いています。7月にはピザ釜ができる予定なので、メニューももっと充実します。特別なものはないですが、ゆっくりとおいしいご飯を食べたり、夕陽を眺めながらビールを飲んだり、ここに来たことで“良い一日だったな”と思ってもらえる。そんな、旅の始まりと終わりに相応しいお店になれたらうれしいですね」
NOMADから車で10分ほどの場所にあるユニークな書店が「のほほん BOOKS & COFFEE」。「山暮らしの本屋」というコンセプトで、店内には山で過ごす夜にじっくり読みたくなる本がずらり。おいしいコーヒーを頂きながら、カフェとして過ごすこともできます。東京との二拠点生活を経て、八ヶ岳に移住してきた渡辺 章子(わたなべ しょうこ)さんにお話をうかがいました。
「もともと夫婦とも山が好きで、日本のトップ3の山が揃う八ヶ岳の南麓に別荘を建てたんです。でも、コロナ禍でリモートワークになり、主人の仕事がコピーライターということもあって八ヶ岳へ引っ越してきました。実際暮らしてみると晴天率が高くて本当に過ごしやすいのですが、一人でボーッとコーヒーを飲みに行きたくなるような、ちょっとした目的地が意外に少なかったんです。そこで、東京の本屋で修行をして本屋のイロハを学び、このお店をオープンしました。セレクトのテーマは“店主が山で読みたい本”です。ほかにも、カフェスペースだけでなく器やレコード、子供服など縁のある仲間の商品も置かせてもらっています。以前NOMADに泊まった女性二人のお客様が夕方お店に来て、本を買って帰られたんです。旅先で本に出会うなんて、素敵な過ごし方だなぁと思いました」
翌朝、朝陽に包まれながら目を覚まし、デッキでコーヒーを飲んでいると、なにかが足りないことよりも、周囲の自然や穏やかな時間の流れに豊かさを感じました。「ここでは何もせずにボーッと過ごしているお客様が圧倒的に多いです。“何もしない”をする、という感覚でしょうか」と、大野さん。たしかに、椅子に深く腰掛け、美しい山並みや流れゆく雲を見るともなく眺め、ときおり聞こえてくる電車の音や鳥の声を聞くともなく耳にしていると、じんわりと幸せな気分がこみ上げてきます。日常との適度な距離感を感じつつ、心と体が弛緩する感じが実に心地よいのです。車に自慢のギアを詰め込んで、仲間とわいわい過ごすアウトドアも魅力的ですが、たまには一人でふらりとローカル線に揺られて出かける気楽なアウトドアもいかがでしょうか。きっと、贅沢な時間を独り占めできると思います。
〒409-1502 山梨県北杜市大泉町谷戸8599
MAIL:info.yatsugatake@thenomadhotels.jp
Tel.080-3005-8668
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://thenomadhotels.jp/
sundaysfood
〒408-0017 山梨県北杜市高根町五町田1227-1
Tel.0551-88-9011
営業時間:8:30〜17:00(L.O. food 14:30, cafe・drink 15:30)
定休日:日・月曜日
※予約はお受けしておりません。
のほほん BOOKS & COFFEE
〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8240-8420
Tel.0551-45-9022
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日・月・火曜日
https://www.nohohonbooks.jp/