近畿地方の保養地として人気の伊勢志摩・賢島(かしこじま)。「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」は、日本有数の美しさを誇る英虞湾(あごわん)の絶景と豊かな自然に包まれたロケーションが魅力です。また、『日本書紀』に「美し国」と記された旧伊勢国、「御食つ国」と呼ばれた志摩市という食の宝庫にあり、シェフの腕が冴える一皿は至福の料理体験。人生の止まり木のようなひとときを過ごすのにぴったりの場所です。
東京から名古屋駅まで新幹線でおよそ1時間30分、そして近鉄特急に乗り換えること約2時間。都市の喧噪から離れ、車窓から見える景色が少しずつ穏やかになると、終点の賢島駅に到着します。決してアクセスが良いとはいえない場所ですが、だからこそ電車を降りたときのリラックスしたムードには得も言われぬ解放感があります。複雑なリアス式海岸の広がる伊勢志摩エリアからは湖のように穏やかな英虞湾を望み、朝廷や伊勢神宮に海産物を納めてきた「御食つ国(みけつくに)」として大自然が育んだ悠久の営みをいまに伝えます。黒潮の影響による温暖な気候が常緑広葉樹の森を育み、雨が降ることで森の栄養分が川を流れ、海を豊かに育ててきました。マグロやマダイ、アワビやカキなどの海の幸はもちろん、松阪牛や新鮮な野菜などの山の幸に恵まれた自然環境は多様な生物を育んでいます。2016年に、この場所でひらまつの名を冠した最初のホテルが誕生しました。
賢島駅からホテル専用の送迎車で向かうと、ゆったりとしたアプローチがリゾート気分を盛り上げます。アライバルロビーの向こうに英虞湾を望み、ウバメガシが生い茂るボタニカルなロケーションは南国のような雰囲気。本棟と別棟にそれぞれ4部屋ずつ、計8室の室内に加え、SPA、貸し切り露天風呂、そしてレストランが左右に広がるようにレイアウトされています。緩やかなカーブを描いた動線は奥行きを感じさせ、慣れると心地良い“おこもり感”に包まれます。
客室は広めのワンルームで、どこにいても自然を感じる開放的な空間。上質な素材と落ち着きのあるインテリアで構成され、のんびりと過ごすのにぴったりです。鳥のさえずりや風で擦れる木々の音に癒やされ、館内にBGMが流れていないことに気づきました。マティスのリトグラフや草間彌生の作品、マッキントッシュのハイバックチェアなど、さりげなく置かれるアートや調度品が調和しながらも、ここが大人のくつろぐ空間であることを伝えています。
「伊勢志摩サミット」が開催された年に開業した「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」。9年の歳月はホテルにどのような変化をもたらしたのでしょうか。支配人の上垣 健一(うえがき けんいち)さんにお話をうかがいました。
「“滞在するレストラン”をコンセプトに、ひらまつが手掛ける最初のホテルとしてこの場所ではじまりました。わずか8室という小さなホテルですが、お客様との心地良い距離感を大切にしながら、パーソナルタッチのサービスをお届けしています。当初はレストランの運営しか経験がなかった私たちですが、お客様に育てていただきながらゆっくりと熟成してきたように思います。おかげさまでリピーターのお客様にも新しい世代のお客様にも恵まれ、このホテルの価値をしっかりお伝えすることができるようになってきました。私自身も自治会の役員を務めたり、近隣ホテルのマネージャーとパパ友になるなど、職場というだけでなく生活の場としてすっかり馴染んでいます。ホテルやホテルで働く人が地域にしっかり根差していることは、お客様の心地良さにも繋がっていると思います。ともかくここに来たらゆっくりくつろいでいただき、おいしいものを食べて好きなように過ごしていただく。これからもお客様が心から開放される場所でありたいと思っています」
開業から料理長として腕を奮ってきたのが今村 将人(いまむら まさと)さん。23歳でひらまつに入社し、29歳で銀座にあった「アイコニック」(現在閉店)の料理長を務めました。
「もともと食材を活かした料理が得意だったこともあり、料理長兼店舗責任者として起用されたのだと思います。日本書紀に『美し国(うましくに)』と記された食材の宝庫とはいえ、生産者のみなさんと良い関係を築かなければ良い素材は入ってきません。WEBなどで出てくる情報ではないので、買うものがなくても毎朝市場に足を運び、ご年配の生産者の方にはLINEの使い方を覚えてもらってひとつずつ食材を集めてきました。ですから、2019年にミシュランの星を獲得したときは、力を貸してくれている周囲の人たちが喜んでくれたことがなによりうれしかったです。街中のレストランではなく、ホテルという空間で料理を提供するにあたっては、旅のワンシーンとして記憶に残る体験をお届けしたいと思っています。食材にまつわるストーリーや季節と旬の関係、この土地の歴史や伝統をきちんと文脈に取り込みながら、一皿ずつの物語を構築しています。ぜひ、余すことなく楽しんでいただけるとうれしいです」
今村シェフの言葉を体現しているのが、その日に使う食材を紹介するプレゼンテーション。ワゴンに乗せて運ばれてくるのはサワラ、伊勢真鯛、伊勢エビ、アワビなどの魚貝類、そしてフォアグラや野菜、キノコ類といった山の幸など、瑞々しい素材がぎっしり。
アミューズはカンパーニュの上に燻製したサワラを重ねたもの。オリーブとキノコのデュクセルソースにビワやピクルスのアクセントが効いています。フォアグラのリゾットには伊賀のリゾット米を使い、熟成感を求めてオーストラリアから仕入れたトリュフと野生のアスパラガス「アスペルジュソバージュ」をあわせました。異なる温度とテクスチャーの違いが楽しい一皿です。ポワソンはカラマンダリンやオレンジなどの柑橘にウイキョウ(フェンネル)やケール、モロヘイヤを加えたアサリのソースに、伊勢真鯛をポワレに仕立てたものをのせて伊勢茶のエスプーマを添えた一品。計算された旨味と酸味のバランスに複雑な香りが奥行きを与えます。メインは松阪牛のモモを塩麹でマリネしたもの。黒ニンニクと赤ワインのソースに生胡椒の香りが良い刺激になり、ネギや水茄子の付け合わせと柚子胡椒ならぬ蜜柑胡椒などのオリジナリティが食欲をそそります。コース全体に数えられないほどの食材やスパイスがちりばめられ、語りかけてくるようなドラマチックな料理におもわず会話が止まってしまいます。
料理と並んで人気を誇るアクティビティがプライベートタラソプールとアメリカの大自然が生んだクレイセラピーを堪能できるSPA。実際に体験してみると、瞑想と覚醒の間を行ったり来たりするような不思議な感覚にうっとり。ゲストの3割が利用するというのも納得です。運営するCLAYD SPAのマネージャーでセラピストの山本 芽衣(やまもと めい)さんにお話をうかがいました。
「SPAでは賢島の海洋水を温めたタラソプール、スチームハマム、オイルトリートメント、クレイパックの組み合わせで体調やご希望に合わせたメニューをご提案しております。自然の外気に触れながらリラックスしていただくことで、深い瞑想状態を体験していただけるのが特徴です。特に、浮力のある温かな海水に身を預けるエクササイズはここだけのプログラムで、独特の浮遊感と共に身体をほぐすことができます。クレイはアメリカ西海岸の砂漠地帯で暮らすネイティブアメリカンから伝わったものです。皮膚細胞に必須なケイ素、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがバランス良く含まれています。身体的な回復はもちろんですが、心理的にもリフレッシュしていただけるため、チェックアウト後にたっぷりと時間をかけてトリートメントされるお客様もいらっしゃいます。国立公園の自然に抱かれた贅沢なSPAというロケーションはなかなか珍しいので、ぜひこの解放感をお楽しみください」
翌朝、ウグイスの元気な鳴き声で目覚めました。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、海を眺めながら国立公園のなかで目覚める貴重な朝を堪能します。別棟の客室に備えられた温泉風呂に浸かり、軽く身体をほぐしたらいざ朝食へ。ぐっすりと眠ったせいか、脱力しきった身体に濃厚なトマトジュースが沁みます。伊勢エビのビスクやパンケーキにのったエッグベネディクト、山村乳業のヨーグルトなど、新鮮な野菜と共に朝から滋味たっぷりの朝食を頂きながら、支配人と昨晩のディナーを振り返ったり、今日の予定と天気について話したり。それは実に穏やかで心地良い時間でした。帰りの電車はなんだか夢見心地で、たまには自分を労うような時間も大切だと実感します。人生の節目にゆっくり自分と向き合う、そんな旅にぴったりの場所でした。
【スパ1名付】夏SPA タラソプール&リチャージタイムで至福のリトリート/夕・朝食付
伊勢志摩の豊潤な食材を味わうフランス料理と、CLAYD SPAによる「夏SPA」メニューを堪能するプランです。
プライベートタラソプールで身体を動かした後は「リチャージタイム」で英虞湾から吹く風を感じながら静かに過ごし、呼吸と心を整えていただきます。60分のトリートメントでは、お一人おひとりのコンディションに合わせて最適な箇所をケア。夏限定のトリートメントメニューで、心地よい時間をおたのしみください。
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〒517-0501 三重県志摩市阿児町鵜方3618-52
Tel:0599-65-7001
予約受付時間:9:00~21:00
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セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
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https://www.hiramatsuhotels.com/kashikojima/