寝心地の良いパジャマを求めて
TANI
香港発アンダーウェアのグローバルブランド
寝心地の良いパジャマを求めて
TANI
香港発アンダーウェアのグローバルブランド

長い間、「眠り」に凝っている。ひとはなぜ眠るのか。快適な眠りを得るにはどうしたらいいのか。朝、起きられない人がいるのは、どうしたわけか。そんなことに解を求めながら、「睡眠」の周囲をうろうろしている。最近は、睡眠が浅くなっていることに気づき、直接体に触れるパジャマや枕、ふとんなど、自分に合うものを探すようになった。しかし、こうした商品は「試し買い」ができない。それで、いくつも同じようなものが溜まることになる。「Tani」のパジャマと出合い、久しぶりに「当たり」を感じた。

快適な眠りを得るために

健康長寿の最大の秘訣は「栄養・運動・休息(睡眠)」をバランス良くとることとされている。では、最上の睡眠を得るための寝室の条件とはどのようなものだろうか。「静寂・空調(気温と湿度)・照明・香り」といった点について寝室の環境を整えておくことだろうか。騒音の中ではなかなか眠れないし、部屋が寒すぎても暑すぎても寝苦しい。照明がついていないと眠れないという人もいるが、通常は、枕元のほのかな常夜灯くらいがちょうど良い。意外に知られていないのが、香り。香りも人の睡眠に大きく影響する。異臭のする部屋では眠れないし、場合によっては危険なことさえある。ベッドを共にするパートナーへも配慮したい。口臭や体臭など、気がつかないでいると相手の眠りを妨げることにもなる。また、アロマは誰にでもお勧めできるわけではないが、気に入った香りをアロマディフューザーから常時、ほのかに漂わせておくのも入眠の助けになる。

寝る前にお風呂を

ひとはいうまでもなく、動物である。動物は体温が低下してくれば、体力の消耗を防ぐために自然と眠くなるようにできている。したがって、ベッドに入ってもなかなか眠れないというひとは、いったん体温を上げておくといい。それにはお風呂に入るのが一番。簡単にシャワーですますのではなく、バスタブに入ってゆっくり体を伸ばすほうが全身を温めるのに効果的だ。バスソルトを入れておくのも効果的だろう。睡眠儀式としてベッドに入る前にカモミールティーやノンカフェインのお茶などを飲むのもいいそうだ。ただし、ナイトキャップ(睡眠前のお酒)はあまりオススメできない。ほどほどのお酒は眠りを誘うので睡眠に有効とされているが、習慣になると量が増えてしまうので要注意である。ひとによっては、Non-Rem睡眠(熟睡状態)のリズムが早まって、明け方のRem睡眠(脳波が働いたままの睡眠)のタイミングが早められ、かえって目が覚めてしまう場合もある。

「シルクタッチ」のパジャマ

最高の睡眠を得たと感じるのは、当然のことながら、睡眠中ではなく、目覚めた時である。体が軽くなるような爽やかな目覚め、力がみなぎってくるような気持ちの良い寝覚め。そうして充実した昼間を過ごせれば、さらに熟睡できる夜が得られることだろう。こうしてみると、昼間の活動のために睡眠があるのではなく、快適な睡眠のために昼間の充実がある、とさえ思えてくる。パソコンで深夜まで作業していると、脳の働きがなかなか止まらないことがある。NYのビジネスマンが、クールダウン用に小型の鹿威(ししおどし)をベッドルームに置いている映像を見たことがあるが、効き目はありそうだ。ほかにベッドやマットレス・掛け布団・枕・パジャマなどについても、自分の好みのものを用意しておく必要がある。以前は、シルクのような肌触りの海島綿のパジャマを愛用していたが、耐久性にやや問題があり、トレーナーの上下に替えたことがある。しかしトレーナーは本来、運動着。休息のためのナイトウェアとしては、いささかエレガンスに欠ける。そこで見つけたのが、Taniの「Silktouch」パジャマ。ブランド名から国産と思いきや、香港発の高級アンダーウェア、ホームウェアを製造するTanitex Industries Limitedのプライベートブランドだった。

アンダーウェアの新たなスタンダード

Tanitex Industries Limitedは1985年、香港出身のケネス・タンさんによって創業された。米国の化粧品会社に在籍していたとき、「下着の技術は遅れている」と感じて自ら創業を思い立ったのだそうだ。1992年、香港に近い中国広東省に自社工場を建設。ファブレス経営(工場を持たない経営)がもてはやされた時代に、むしろ「素材の開発からデザイン・製造・パッケージングまで、すべての工程に責任をもつ」という姿勢が信頼され、OEM(相手先ブランドによる生産)を積極的に引き受けていく。ブランドリストは公表されていないが、それはもう、世界の一流ブランドのオンパレード。「こんなところまで!」と驚くほどの名だたるブランドが名を連ねている。

素材からデザイン、縫製まで

このTanitex Industries Limitedを母体に誕生したプライベートブランドが「Tani」。1998年のことである。そして、Tani最大のシグネチャーラインが「Silktouch」。素材は、オーストリアのブナの木から生成された「テンセル™モダール x Micro Air」を使用している。シルクより軽い極細の繊維で、極上の柔らかさと、しっとりとしたとろみ感のある肌触りが大きな特徴。Silktouchのパジャマで寝ると、360°どちらの方向にも大きく伸縮するので、ベッドの中でも気持ちよく動ける。寝返りのストレスが少なくなる、というより、寝返りはむしろ、減った感じさえする。ほかにも、Taniが主催するチャリティプロジェクトから派生した「Underdog」や、「Air」「Freeform」「Swiss Cotton」などの定番ラインがある。ほぼ無限にあるさまざまな素材を組み合わせ、地球サイズで新素材を探し歩き、新しい製品に結びつけていく。目指すは、最上級の素材を使った「新しいスタンダードへの挑戦」なのである。

世界を変えるミッシェル・タンさん

プライベートブランド、Taniを率いるのは、代表取締役でクリエイティブディレクターのミシェル・タン(Michelle Tang)さん。1975年香港生まれの今年45歳。1987年に家族とともにカナダヘ移住。モントリオールのマギル大学を卒業後、父親の経営するTanitex Industries Limitedに入社、マーチャンダイザーからキャリアをスタートさせている。さらに、2004年香港大学でMBAを取得、世界へ乗り出す準備は完了した。日本法人Tani Japanを設立したのは2017年。日本での水先案内人に迎えたのが、監査役の櫻庭 充さん。シャルル・ジョルダン(Charles Jourdan)の運営や、イタリアンBARのお店、セガフレード・ザネッティ(Segafredo Zanetti)の日本への導入などを成功させたブランド・ビジネスのオーソリティである。「香港でセガフレードをやりたいと相談に見えられたのがきっかけで、家族ぐるみでお付き合いしています」と櫻庭さん。「彼女は、マギル大学でサイエンスを専攻しており、サステイナビリティや資源の再生に積極的に取り組んでいます。ただ、とてもシャイで、表に出たがりません。『ブランドは商品を通じて語らせる』のが本筋ですが、それを送り出している本人もブランドの一部なので、もっと表に出せるとブランドの認知度も早まると思うのですが、シャイもブランドの一部ですね」とも。

しかし、櫻庭さんは急がない。「この先も何十年と末永く残っている企業になれたらいいな」と考えている。すでにそうなっている気がする。

Tani

Tel. 03-6820-8240
Mail. info@tanicomfort.jp
https://www.tanicomfort.jp/

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