誰かと食事がしたくなる器
COSTA NOVA
誰かと食事がしたくなる器
COSTA NOVA

ヨーロッパの最西端に位置するポルトガルは、日本から最も遠い異国のひとつ。しかし、歴史や文化において大きな影響を受けているせいか、素朴な味わいのポルトガルの料理にはどこか親しみを覚えます。シンプルな盛り付けにシズル感を与えてくれるのが、ぽってりと温もりを感じさせる“あの”食器たち。ポルトガルの食文化に豊かさのヒントを求めて、ポルトガルのテーブルウエアブランド「COSTA NOVA(コスタ・ノバ)」を輸入する株式会社カサラゴの山田 直子さんと西荻窪のポルトガル・ブラジル料理店「コッポ・ド・ヂーア」を訪れました。

遠くて近い葡国

ユーラシア大陸の最西端にあるポルトガル。ロカ岬にはポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスによる「ここに地終わり海始まる」の石碑が建ち、そこから眺める大西洋に沈む夕陽には誰もが郷愁(サウダージ)を感じることでしょう。そして、日本から最も遠いヨーロッパの国でありながら、わたしたちの歴史や文化に大きな影響を与えています。大航海時代に長崎の出島を舞台にポルトガル商人と日本人の間で南蛮貿易が始まり、南方を経由して渡来してきたポルトガル人やスペイン人を「南蛮人」と呼びました。当時の日本で産出された豊富な銀と引き換えに輸入したのが、鉄砲や中国産の絹糸などの渡来品の数々。さらに、日本に大きな影響を与えたのが食文化です。キャラメルやカステラ、金平糖などのお菓子だけでなく、タバコやワインなどの嗜好品、現代の和食を代表する天麩羅もポルトガルから伝わったとされています。

日本人の舌にも合うポルトガル料理

海洋国家のポルトガルでは魚介類を使った料理も多く、オリーブオイルと塩で味付けたシンプルな料理は日本人の味覚にもよく合います。有名な食材としては、アジやイワシなどの青物から干し鱈やタコ、海老やアサリなど日本でも馴染みのある素材ばかり。さらに、歴史的な背景から、コリアンダーを使用したり、パプリカとお塩の発酵調味料なども特徴的です。パンやジャガイモだけでなくお米が主食として食卓に並ぶことも多く、魚介の入ったリゾットや、鴨の炊き込みご飯も代表的なお米料理です。バカリャウと呼ばれる干しタラや鰯のグリルなど、素朴な味わいはどこか懐かしくもあり、優しい風合いのお皿で頂くひと皿には食事の時間を楽しくしてくれる不思議な魅力が詰まっているようです。

料理を引き立てる器

ポルトガル発の「COSTA NOVA(コスタ・ノバ)」は、世界中のレストランで使われているテーブルウエアブランド。プロユースの使いやすさを備えながら、どこか手作りの温もりを感じさせる独特の風合いが魅力です。ブランド名のルーツでもある北部の小さな港町にはカラフルなストライプ模様のコテージが並び、日暮れには漁師たちが外に並べたテーブルで食事をします。そこには、ヨーロッパ特有の暮らしに対する美学があるようです。日本総代理店を務める株式会社カサラゴの山田 直子(やまだ なおこ)さんにその魅力をうかがいました。

「コスタ・ノバは愛する家族や友人とテーブルを囲む時間を大切にする情緒的な面と、地元ポルトガルのアヴェイロ大学の窯業科と最新の素材や釉薬について研究を続ける姿勢が特徴的です。手作りのような繊細な風合いは一見扱いにくそうに感じるかもしれませんが、実は食洗機も電子レンジも問題なく使えますし、アイテムによってはオーブンでも使えます。あるレストランでは“創業以来、ほとんど割れたことがない”などと言われることもあり、こちらとしては困ってしまうほど丈夫です(笑)。陶器と磁器の中間の性質を持つストーンウエアという素材を熟知し、製造過程で破棄されていたリサイクル陶土を利用したオリジナルの『ECO GRES(エコグレス)』なども開発しました。工業製品でありながら、型の成形や仕上げの作業に人の手が加わることで、使いやすくて食事が楽しくなるような風情のある器が生まれているのだと思います」

地中海の魅力を表現した「MARRAKESH」

近年ではドイツやフランスなど、ヨーロッパのデザイナーともさまざまなコレクションを発表しています。フランスのフラワーアーティストのクリスチャン・トルチュによる最新作「MARRKESH」は、モロッコの古都マラケシュからインスピレーションを得たもの。イヴ・サンローランが愛した「マジョレル庭園」などをイメージソースに、中東の色彩やボタニカルな雰囲気が散りばめられています。南フランスとイタリアのリゾート地からインスパイアされた前作の『RIVIERA』シリーズに続き、地中海の空気を存分に纏った佇まいが魅力的です。「器は料理が盛り付けられてこそ映えるもの。おすすめのポルトガル料理屋さんへ行ってみましょう」ということで、西荻窪まで出掛けてきました。

料理とワインを楽しむ「コッポ・ド・ヂーア」

JR「西荻窪」駅の北口から女子大通りを進むと、ポルトガルの料理とワイン、そしてブラジル料理を頂ける「コッポ・ド・ヂーア」が現れます。料理を担当するご主人の伊藤 正弘(いとう まさひろ)さんは「もともと日本人の好みに近い料理ですが、塩と油を軽くすることで、より素材の味を引き出し食べやすい味にアレンジしています」と、東京都内ポルトガル料理店で修行した腕に磨きをかけています。

ソムリエを担当する妻の知子(ともこ)さんは、ポルトガルのワインはおいしくて固有品種もたくさん存在するので、ぜひ試してほしいです。料理に合わせながら日常を彩るひとときにぴったりの一杯を取りそろえています」と、笑顔で答えてくれました。日によってはブラジル音楽や、ポルトガルの民族歌謡「ファド」のライブなども楽しめる店内には、等身大の心地良い時間が流れています。

シンプルで味わい深いひと皿

料理はポルトガル名物の「干し鱈のコロッケ」、オリーブオイルの香りが食欲をそそる「タコのラガレイロ」といった定番料理に加え、バゲットの上に鰯のオイル漬けと「マッサジピメンタオン」というパプリカと塩の発酵調味料を合わせた一品や、アレンテージョ地方特有の豚肉とアサリを炒めた「アレンテージョ風」、そしてブラジル料理の定番「黒豆と肉のフェイジョアーダ」などを頂きました。いずれもシンプルな見た目とは裏腹に、歯ごたえや温度、食感が実に繊細でいくらでも食べられそうな軽い食べ心地が魅力。さっそく新作の器に盛り付けた正弘さんに印象をうかがうと「ニュアンスを感じる優しい発色と、一つひとつ微妙に違う表情が良いですね。この独特な風合いが料理を引き立ててお客様にシズル感を与えてくれるので、料理がより楽しくなります」と、好印象。一人でワインのつまみに頂いても、仲間とわいわいやっても心まで満たしてくれそうな料理たちです。

食事はいまを楽しむ“生活の美学”

食事をしながらグラスを片手に色々と話をうかがっていると、正弘さんがポルトガル人から聞いた“仕事に誇りを持つ秘訣”を教えてくれました。それは「5時になったら家に帰って、家族や仲間と食事をすること。嫌になるまで働かない(笑)」というものでした。なるほど、彼らが何を大切に生活しているのか理解できるエピソードです。それを受けて山田さんも「仕事でポルトガルに訪れた際にも、みんなで食事をすることをとても大切にしていました。何を食べるかよりも、誰と食べてどんな話をしたかが重要で、そこには食に対するプリミティブな魅力が詰まっているように感じます」と続けます。食事風景がどこかみずみずしく感じるのは空腹を満たすためではなく、一緒に食事をすること自体が目的だからなのかもしれません。いまという瞬間を楽しむ暮らしの美学から生まれたCOSTA NOVAの器にも、毎日の食事を楽しくしてくれるエッセンスが詰まっていました。

copo do dia

〒167-0042 東京都杉並区西荻北4-26-10 山愛コーポラス103
Tel. 03-3399-6821(電話予約:水〜日曜16:00〜)
定休日:月・火曜日
営業時間:18:00〜23:00

セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カードが
ご利用いただけます。
https://copododia.com

株式会社カサラゴ

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