オーシャニアクルーズの「Nautica(ノーティカ)」で快適な船の旅。前編では、長旅を快適に過ごせる船内の様子をはじめ、レストランなどの船上空間についてご紹介しました。後編ではクルーズの醍醐味ともいえるエクスカーションプログラム(寄港地ツアー)を中心に、クルーズのエンターテインメントについてご紹介します。微かなエンジン音と朝日で目を覚まし、目の前に広がる異国の地を眺めながらゆっくりと朝食を頂く。疲れも時差ボケもなくその土地に溶け込むような体験は、贅沢な旅の楽しみ方です。
クルーズの魅力はさまざまですが、経験者が必ず挙げるポイントに「疲れない」があると思います。寝ている間に船が動いてくれるので、移動による負担がないのは言うまでもありません。さらに、部屋ごと移動するので荷物をしまう手間もかからない。移動の度にパッキングをしないで済むのは旅の負担を大きく減らしてくれます。そして必要最低限の荷物だけで寄港地を回れるので、ストレスがないだけでなく安全でもあります。レストランの予約に困ることもなければ、万が一体調が優れないときでもメディカルセンターで対応してもらえるなど、疲れを感じにくい要因は安心感も大きいのではないでしょうか。移動手段と宿泊施設がひとつになるメリットは計り知れません。
日本を離れて最初に立ち寄った寄港地が韓国の「済州(チェジュ)島」。「海の向こう側の大きな郡」という意味を持つこの島は、かつては王国として独立していた歴史を持ちます。その名残として、独自の神話や文化、風習が残っています。また、素潜りで魚や貝などの海産物を獲ってくる「海女(あま)」も伝統的な女性の職業として今なお活躍しており、2016年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。現在ではゴルフ場やカジノなどの観光資源も充実し、韓国国内だけでなく日本からも多くのゲストが訪れます。しかし、火山活動によって形成されたダイナミックな自然と独自の生態系、そして現代に続く歴史と文化こそ、最大の見所かもしれません。
韓国で最大の島である済州島には、火山活動によって生まれたユニークな景勝地がいくつもあります。180年前からはじまったとされる海底火山の噴火で誕生したのが、絶壁に囲まれた「城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)」。2000年に韓国の「天然記念物」に指定され、2007年には「済州火山島と溶岩洞窟」としてユネスコの世界自然遺産に登録されました。海に突き出した王冠のようなシルエットが特徴的で、済州島のシンボルともいえる姿は圧巻です。海底噴火によって誕生した山で、中央が大きくくぼんだ火砕丘の標高は約180メートル。島の東に位置しているため日の出が美しく、年間300万人もの観光客が訪れるといいます。海女さんによる採れたてのアワビが食べられる海の家や、ホーストレッキングなどのアクティビティもあり、チェジュの自然の恵みを堪能できるスポットです。
続いてバスで向かったのは韓国で最も標高が高い「漢拏山(ハルラサン)」の麓にある「城邑民俗村(ソンウッミンソッチョン)」。15世紀頃の村の姿がそのまま保存されているエリアで、当時の建築様式や暮らしぶりがうかがえます。ゴツゴツとした溶岩を積み重ねた石垣と藁葺き屋根の民家が在りし日のままの姿で残り、村内には今なお人々の営みがあります。至る所に「トルハルバン」という守護神が祀られ、独自の文化形成の痕跡を感じました。韓国ドラマファンの間で話題となった「チャングムの誓い」のロケ地としても知られ、ローカルガイドの解説が昔の朝廷の様子や地方都市の暮らしぶりをリアルに伝えます。決して肥沃とはいえなかった大地には菜の花が咲き誇り、しっかりと根を張り暮らす人々の歴史を伝える貴重な場所でした。
翌朝、たっぷりと広いベッドで目を覚ますと、バルコニーの外には近代的な高層ビルが建ち並んでいます。朝起きれば目の前に新しい目的地が広がっているという体験は、実にドラマチック。暮らすように旅をする快適さを実感します。パスポートやカメラなど、必要な荷物を手早くまとめたらさっそくツアーに参加します。降り立ったのは韓国最大の港湾貿易都市「釜山(プサン)」。国際港による物流の要衝として発展し、朝鮮戦争の際には臨時政府の首都としても機能した歴史を持ちます。海岸沿いには超高層マンションが林立し、ローカルガイドによれば「高層ビルの密集度は韓国一で、ビル風に悩まされている人も多い」といいます。クルーズターミナルのある海雲台(ヘウンデ)ビーチ周辺の開発などはここ数十年のことで、2019年に誕生した複合施設「エルシティ」は発展のシンボルといえそうです。
海雲台から海岸沿いをバスで東へ30分ほど進むと見えてくるのが「海東龍宮寺(へドンヨングンサ)」。世にも珍しい海辺の寺院で、高麗時代に建てられました。観音様が祀られており、心から祈ることで必ず一つの願い事を叶えてくれると伝えられています。境内にはお釈迦様や布袋(ほてい)像なども祀られ、交通安全や安産祈願など、さまざまな御利益が得られるパワースポットとして人気です。参道にはローカルフードを出す屋台やギフトショップなどが並び、まるで縁日のような雰囲気。春には「釈迦誕生日」が盛大に祝われるとのことで、色とりどりの提灯が境内を彩りひときわ賑わいを見せるそうです。ガイドさんによれば「日の出の美しさも格別」で、束の間の休日を満喫する親子連れに釜山の日常を垣間見た気がします。
ツアーの最後に立ち寄ったのが、韓国一の規模を誇る魚介類専門市場「チャガルチ市場」。日本でも同じ名前のレストランがあるなど、韓国海鮮料理の代名詞にもなる有名な市場です。クルーズターミナルからすぐの南浦洞(ナンポドン)にあり、毎日数百種類に及ぶ魚介が運び込まれてくるそうです。鮮魚を販売する露天や採れたての魚貝類を食べさせる屋台が入り交じり、市場は活況を呈しています。朝早くから営業しているため、朝食に利用する市民も多く、地元民と観光客が入り交じる様子はかつての築地市場を見ているようです。場内を歩いていると「アジメ」と呼ばれる女性が気さくに声をかけてくるのですが、「慶尚道(キョンサンド)の方言でアジュンマ(おばさん)のこと」とガイドさん。独特の方言で話しているそうで、市場の盛り上げ役といった勢いで話しかけてきます。買った魚をその場でさばいてもらい、薬味代という調理代を払って刺身や鍋を頂く独特の作法もユニーク。市場を散策しているだけで、ローカルに溶け込むような体験でした。
オーシャニアクルーズのエクスカーションプログラムは、専門のチームによって世界各地の600以上もの港で展開しています。建築の舞台裏を知ることで理解を深める「ビヨンド ブループリント」や旅先でローカルな食文化を探究する「食の発見ツアー」、厳選された土地での「ウェルネスツアー」など、寄港地に合わせたユニークなプログラムを目当てにオーシャニアクルーズを選ぶゲストも多いそうです。特に、「ゴーグリーン」や「ゴーローカル」といった、その土地に溶け込むような体験は、旅の解像度を上げてくれる貴重な体験です。「観光」とは本来、その土地の優れた取り組みなどを見て学ぶという意味があります。グーバリズムによってフラット化した現代において、興味や関心に合わせてその地域に没入できるエクスカーションは、最も贅沢な体験といえるかもしれません。
今回は台北から日本を経由し、韓国をまわって日本を周遊するという「Eastern Endeavor(イースタン・エンデバー)」というツアーの一部をご紹介しました。オーシャニアクルーズでは、より上質なクルーズ、よりユニークな冒険を求めるゲストのために「オーシャニアネクスト」というリニューアルプロジェクトを実施。そのテーマは「洋上最高の美食」と「厳選した旅体験」、そして「小型客船ならではのラグジュアリー」です。今回は4泊5日という滞在でしたが、そのエッセンスは十分に堪能することができました。さまざまなクルーズが注目を集めていますが、とびきりの食体験とゴージャスな空間で程よく寛げるオーシャニアクルーズは、新しい旅行体験を求めるゲストにこそぴったりです。そろそろクルーズで旅をしてみたいと思ったら、まずはクルーズスケジュールを確認することをおすすめします。
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