歴史と文化の交わる国
トルコ(後編/イスタンブル)
刺激的な最新のトルコ
歴史と文化の交わる国
トルコ(後編/イスタンブル)
刺激的な最新のトルコ

トルコ共和国最大の国際都市、イスタンブル。ローマ帝国時代はコンスタンティノープルと呼ばれ、オスマン帝国時代まで首都として機能していた街です。1923年のトルコ革命によって首都はアンカラに移されましたが、いまでもヨーロッパとアジアそれぞれの玄関口としてエネルギッシュな国際観光都市へと成長しています。多くの船が行き交うボスポラス海峡に面したガラタ地区には、クルーズ船のターミナルを併設した多目的施設「ガラタポート」も完成するなど、最新のイスタンブルは刺激と活気に満ちています。

アジアとヨーロッパの交差点

イスタンブルはローマ帝国、東ローマ帝国、オスマン帝国と3つの世界帝国の首都となった歴史的にも珍しい都市です。トルコ共和国の玄関口としてだけでなく、アジアとヨーロッパを結ぶ海と陸の要衝として長い間栄えてきました。イスタンブルのスィルケジ駅は、パリのストラスブール駅を出発する長距離列車「オリエント急行」の終着駅でもありました。飛行機での海外旅行が一般的になってからは、日本からヨーロッパ各地への乗り継ぎで立ち寄った方も多いのではないでしょうか。トルコ共和国は2022年の観光客数が5,140万人を超え、世界第3位の観光都市にまで成長しています。鯖サンドの屋台やガラタ橋の釣り人など、懐かしさは残しながらもこの10年で大きく変貌を遂げたイスタンブル。この背景には、ナショナルフラッグ「ターキッシュエアラインズ」をはじめとするさまざまな取り組みがあります。

世界最大規模の国際空港

120以上の国に運航し、コロナ禍でも羽田からイスタンブルへ毎日就航していたターキッシュエアラインズ。関西から発着するイスタンブル線も再開し、羽田、成田線も毎日就航するなど、広範囲なネットワークで世界各地へアクセスしています。その本拠地が2018年10月に開港した「イスタンブル空港」です。国内線と国際線を合わせて350以上の目的地へ就航し、世界へ向けた空の拠点として最終的に年間2億人の利用を見越しています。中央の大ホールから7つのコンコースが伸びており、迷うことはありませんが、桁違いの広さなので移動は余裕を持った方が良さそうです。700人以上を収容できる巨大な専用ラウンジだけでなく、長時間の乗り継ぎでは無料の市内観光「トランジットツアーイスタンブル」なども実施しています。空港からイスタンブル市内までの往復はもちろん、乗り継ぎ時間に合わせて半日から終日の観光やお買物ツアーなど無料とは思えない充実のラインアップ。さまざまなプログラムが用意されているので、このツアーを目当てにストップオーバーする乗客もいるほどの人気ぶりです。

ミステリーの女王が愛したホテル

世界初のジェット旅客機が初飛行したのが1949年のこと。それまではヨーロッパからアジアへの長距離移動には主に鉄道が使われていました。その代表ともいえるのが1883年に開通したオリエント急行。パリからミラノなどを経由してコンスタンチノーブル(現イスタンブル)まで6日間かけて移動する豪華列車は、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』の舞台としても有名です。ミステリーの女王が何度も宿泊し、同著を書き上げたのが「ペラパレスホテル」の411号室。オリエント急行でイスタンブルを訪れる乗客を受け入れるためのホテルとして誕生し、新市街エリアのペラ地区で1世紀以上にわたって多くのゲストを迎えてきました。トルコで初めて設置された電動エレベーターはいまも健在で、建築家アレクサンドル・ヴァローリーによるクラッシックな雰囲気は大規模なリノベーションを経て一層魅力が増したようです。ちなみに、4階には“ある鍵”が展示されているのですが、これは “11日間の失踪”を記した日記の隠し場所の鍵だと言われています。

スルタンの気分を味わえる宮殿ホテル

ボスポラス海峡をクルーズしていると、ひときわ壮麗な建物が目を引きます。「チュラーン パレス ケンピンスキー イスタンブール」は、オスマン帝国のスルタン(皇帝)が暮らしていた宮殿を改築したホテルです。1910年に火災に見舞われ、庭園と外壁を残して消失した宮殿を1987年にホテルとしてリニューアルしました。世界中のV.I.P.が宿泊する「パレススイート」では専属のバトラーが出迎え、滞在中に使う石けんの香りを選ぶところからはじまります。印象的なシャンデリアやアンティークの調度品が、実に贅沢な気分にさせてくれます。その改築に合わせて新しく建てられたのがお隣の「メイン・ホテル」。1階の「トゥーラ・レストラン」はミシュランガイドにも掲載され、テラスで頂く朝食が人気。ボスポラス海峡を望むインフィニティ・プールや宮殿時代から残る庭園など、まさにスルタンのような滞在が叶えられそうです。

モダンラグジュアリーな最新ホテル

クラッシックなホテルも魅力的ですが、最新のホテルもエキサイティングです。2023年2月に開業したザ・ペニンシュライスタンブールは、最新複合施設「ガラタ・ポート」のウォーターフロント再生プロジェクトの一環として誕生しました。歴史的な建造物を含む4棟から構成され、美しい庭が緩やかに敷地を繋ぎます。この庭園はスイスの造園家エンゾ・エネア(Enzo Enea)によるもの。植物園並みに多くの花やハーブが植えられ、季節ごとに全く違う表情を見せてくれるといいます。130平米の「プレミアム・ボスポラス・スイート」からは海峡を行き交う船が眼前に迫り、時間とともに移りゆく美しい景色を一日中眺めていることができます。屋上のレストラン「Gallada(ガラタ)」では、ミシュランの2つ星を獲得したトルコ人シェフ、 ファティ・トゥタクがシェフディレクターとして新しい食体験を生み出します。最新のペニンシュラホテルは、ホテルが立つ土地の文化を尊重する経営哲学と富裕層のトレンドを体現していました。

伝統を刺激するガストロノミー

2022年には初のミシュランガイドも発行され、トルコのグルメ事情は活況を呈しています。ひときわ飛び抜けた存在が「Mürver(ミュルヴェル)」のメヴリュット・オズカヤさん。ミシュラン・ヤングシェフアワードに輝き、世界の食通たちがカラキョイ地区にある彼のレストランを訪ねます。ネオ・トラディッショナルとも言える彼の料理は、さまざまな食材の風味や食感がひと皿に凝縮されており、懐かしさと新しさを感じることができます。

「私はウスパルタというトルコの田舎で育ち、実家は曾祖父の代から牧場や農場を営んでいました。料理は祖母の影響が大きかったと思います。祖母は薪火を使った伝統的な料理を得意とし、時間をかけてゆっくり料理をするように教えてくれました。ですから、私は今も祖母から教わったアナトリアの伝統技法を用いながら、新しいトルコ料理を生み出したいと思っています。アンタキヤやマラティアなど、多くの食材をトルコの地方から調達し、新しい組み合わせによって世界にその魅力を紹介するのが私の役目だと感じています。日本人は舌が繊細なので、お店に来るとワクワクします。伝統から新しさを見出し、イマジネーションをお皿の上で表現する私たちの料理を楽しんでほしいですね」

アタテュルクに思いを馳せて

トルコ共和国の東と西を訪れることで、風土や文化がグラデーションのように変化するのを肌で感じることができました。また、広大な国土でありながら、どこの街でも建国100周年を祝うとともに、初代大統領のムスタファ・ケマル・アタテュルクを敬愛しているのが印象的でした。アタテュルクというのは名前ではなく「トルコの父」という意味だそうで、偶然にも取材中に迎えた彼の没後85年の命日には街中で彼を偲んで黙祷が行われました。ガイドさんによれば、「恐らくトルコ全土にサイレンが響き渡り、黙祷が行われている」とのこと。時の権力者に支配されながらも、激動の時代を超えてひとつになったトルコ共和国。コロナで停滞していた世界が動き出したいま、ヨーロッパとアジアの文化と歴史が混ざったこの国のおもしろさが際立ちます。ストップオーバーなど、乗り継ぎで降り立った際にはぜひトランジットツアーを利用してみてください。今度はトルコを旅の目的地にしたくなるはずです。

トルコ共和国大使館 文化広報参事官室

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