空気をデザインする
PS HR-C
ピーエス株式会社
空気をデザインする
PS HR-C
ピーエス株式会社

気候の移り変わりが大きい日本。室内を適温に保つために、エアコン、サーキュレーター、加湿器、除湿機……と一年中さまざまな器具を駆使しています。ピーエス株式会社は、最適な室温をつくる温度と湿度の専門企業。日本の気候のために作られた、メイドインジャパンの冷暖房設備をご紹介します。

日本のために開発された冷暖房

四季変化に恵まれた日本ですが、実は過ごしやすい時期というのはあまり長くありません。寒さ暑さが厳しさを増す昨今、せめて家の中にいるときくらいは肩の力抜いて過ごしたいものです。そんな快適な空間の実現をサポートするのが、日本の気候のために開発された「除湿型放射冷暖房 PS HR-C(ピーエス エイチアール シー)」。ラジエータの中に水を循環させるだけという至ってシンプルな構造ながら、一年を通して安定した過ごしやすい空間をつくりだします。

丁度いい心地よさ

取材に伺ったのは、PS HR-Cを開発、そして製造・販売するピーエス株式会社 代表取締役 平山 武久(ひらやま たけひさ)さんのご自宅。少し寒さを感じた初秋の日でしたが、玄関を開けた瞬間から「ちょうど良い」空気に包まれました。運転中のラジエータに触れてみると、不思議なことに冷たく感じます。「ラジエータからの放射と空気の自然対流によって安定した暖かさや涼しさをつくりだします。水温は冬は25〜35度、夏は15度程度に設定しています。ラジエータの表面温度は人間の手のひらの温度より低いので触ると冷たく感じますが、室温よりは暖かいので“ちょうど良い”んです。低い温度でも24時間運転し続けることで適温が安定します」と平山さん。

スイス製電気ヒータとの出合い

武久さんの父である先代が業務用クーラーに内蔵する加湿器を作る会社として創業したピーエス株式会社。現在のように産業用加湿器やラジエータ式冷暖房を扱うメーカーへと舵を切ることになったのは、アメリカの展示会でスイスの産業用加湿器メーカーに出合ったことがきっかけでした。スイスで美しいラジエータや暖房システムを見た先代はすぐに現地のメーカへ出向き、技術提供と日本での製造のライセンスを契約してきます。「英語もままならなかったはずなのに、すごい行動力ですよね」と平山さん。先代の情熱が実を結び、日本で温水暖房用ヒータ「PS HR」の販売が始まったのが1960年代後半のことでした。いざ販売してみると身体に負担の少ない自然な暖かさが評価され、寒冷地域を中心に需要が高まります。最大の特徴は大きな放射面による低温での暖房。快適と省エネを両立することが評価され、札幌オリンピックの選手宿舎やプレスセンターにも採用されました。

東京生まれの新しい冷暖房

ここに冷房機能をプラスしたのがPS HR-Cです。この立ち上げに携わったのが武久さんでした。1992年、大きな放射面と低温で働く基本構造を応用しながら、日本の暮らしを快適にするための「除湿型放射冷暖房」が誕生しました。

「当初、冷たい水を流すと結露するから冷房は無理だと言われていました。それなら結露用のドレンを付けて排水できるようにすればいいと社内で考えました。冷たい空気は下に流れるので従来の形では難しい。ならば高さがあればいいとということで、壁ほどの高さに設計したのです。結果的にアイコニックなデザインを両立できたと思います」

空間にすっと馴染むデザイン

冷暖房機器とは思えない高さはインテリアとも相性抜群。空間に馴染むデザイン性も魅力です。平山さんのご自宅でも、玄関、バスルーム、リビングなど、ご自宅のところどころに設置されているものの、よく見なければ気づかないほど自然でした。間仕切りの役割を果たしていたり、タオルラックやディスプレイラックになっていたりと、空間にすっかり溶け込んでいます。すべてオーダーメイドのため、標準で56色ものカラーバリエーションから選べます。空間やインテリアとの相性を考えるのも楽しいですね。

多岐にわたる業界で

PS HR-Cは風が発生しないことや室温を安定できることが注目され、発売から30年の間にさまざまな領域でも活用されています。病院、美術館、図書館といった公共施設、ワインセラーやチーズの発酵・熟成室、生態系に合わせた温度調節を行う動物園や植物園など、その活躍の場は多岐に渡ります。「近年、体育館の建て替えや改修にあたっての採用が増えていますね。学生や選手への配慮もありますが、災害時の避難所としての活用を見越してのことでもあるようです」と気候変動や地球環境の変化に伴う需要も見えてきました。

空気をデザインする

空気はコントロールするのではなく、デザインするもので、例えば同じ10畳の空間でも、同じ冷暖房を設置すればいいわけではありません。形状や立地によって、どの位置に、どのくらいの大きさで、どのように配置するかを考える必要があります。

「実はわたしたちの暮らしは空調の風圧や電気などのノイズなど、たくさんのストレスを感じながら暮らしているんです。いい環境というのはそういった雑音もなく、裸足で過ごせるような自然に近い状態だと考えています。空気のデザインを通じて、良い環境作りを続けていきたいと思います」と平山さん。
暮らしに必要不可欠な空気。一番身体に触れるものでありながら、あまりに当たり前で無頓着になっていることに気付かされました。空気を選ぶことは、新しい時代の健康的な選択肢かもしれません。取材後にレコードをかけてもらうと、雑音のない静かな空間に音がすっと広がってゆきました。

ピーエス株式会社

〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-1-3
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