泊まれるアート
白井屋ホテル
前編/芸術とともに滞在する空間
泊まれるアート
白井屋ホテル
前編/芸術とともに滞在する空間
サーバーメンテナンスのため、2021年10月27日(水)AM5:00〜8:00の間
PT MAGAZINEはご覧いただけません。ご了承ください。

芸術鑑賞が「不要不急」にくくられてしまったことで、アートの与えてくれる「驚き」や「気付き」の大切さを再認識した人も多いはず。アートへの欲求を見たしてくれる、ユニークなホテルがあるときいて早速出掛けてみました。「白井屋(しろいや)ホテル」は、創業300年を誇る老舗旅館に、新しい使命を持たせて蘇らせた“アートそのもの”といえるホテル。徹底的に本物であることにこだわった迫力に、訪れたゲストは驚きます。さらに、オーナーはアイウエアブランド「JINS(ジンズ)」を創業した、起業家の田中 仁(たなか ひとし)さんと聞いて、二度驚きました。ホテルの魅力と、田中さんの想いを前半と後半に分けてお届けします。

生まれ変わる街、前橋市

生糸産業によって近代日本の先駆けとなった群馬県の前橋市。しかし、近年では時代の変化に取り残され、話題の少ない地方都市のひとつとなってしまいました。そんな前橋市にいま、再びイノベーションの波が起ころうとしています。「めぶく。」という街の新しいビジョンを象徴しているのが「白井屋ホテル」。かつては皇室関係者や森鷗外なども滞在した老舗旅館に世界のトップアーティストが集結し、新たなアートと食文化の発信地として生まれ変わりました。

建築を手がけるのは藤本 壮介

取り壊しの危機にあった旧「ホテル白井屋」を蘇らせる計画は、2014年にスタートしました。オープンまでの6年間、全体のプロジェクトを牽引しながら設計を手掛けたのが藤本 壮介(ふじもと そうすけ)さん。「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会場デザインプロデューサーをはじめ、フランス・モンペリエの集合住宅「L'Arbre blanc(白い木)」など、ヨーロッパ各国でも高く評価されている建築家です。「白井屋ホテル」は、自身で手掛ける国内初のホテルプロジェクト。全体を構成するのは「ヘリテージタワー」と「グリーンタワー」の2棟。本館にあたる「ヘリテージタワー」では、もともとあった建物の床や壁を抜いた巨大な吹き抜けがひときわ印象的です。天窓から外光を取り込み、植物や家具と混ざり合うことで街のリビングスペースのような役割を果たす空間は、いかにも藤本さんらしい建築美といえます。

緑を纏ったグリーンタワー

そして、今回のプロジェクトで新設されたのが「グリーンタワー」。街中に突如として現れた緑豊かな土手のような佇まいは、前橋市の都市戦略「Green & Relax構想」を体現するもの。実際に芝生を壁に植え付けるのは、株式会社大林環境技術研究所による独自の技術。本物の植物を使うことで、四季の移り変わりが街にシズル感を与え、驚きと調和をもたらしています。

その鮮やかな緑と心地よいコントラストを描くのが抹茶色に彩られた特別個室「真茶亭(まっちゃてい)」。現代美術作家の杉本 博司さんと建築家の榊田 倫之(※)さんによる「新素材研究所」が設計したもので、積層ガラスによる光の揺らぎと、水の波紋に見立てた杉板のカウンターが幻想的な体験を与えてくれます。

※榊田 倫之さんの「榊」は、正しくは「木」に「神」の組み合わせとなりますが、一部のブラウザでは正しく表示されないため「榊」の字を使用しております。

館内と空間のすべてが作品

国道50号に面したヘリテージタワーのファサードを飾るのは「インフォメーション」をテーマにコンセプチュアル・アートを牽引してきたローレンス・ウィナーによる作品。スタッフが館内の清掃をする際に着用するユニフォームにもあしらわれています。

館内の吹き抜けを縦横無尽に走るのは、森美術館で開催された個展「見ることのリアル」が話題となったレアンドロ・エルリッヒによる「Lighting Pipes」。LEDを仕込んだ光のパイプは、古い建物を構成していた配水管のイメージからインスパイアされたもの。時間とともに色合いが変化し、空間の表情を変えます。

グリーンタワーの最上部に輝くのは「デス・シリーズ」を生み出した宮島 達男さんによるネオンとLEDのアート。刻々と変化し続ける数字は、不可逆的な時の流れとともに、変化し続けるこの街の躍動感を象徴しているかのようにも感じます。館内は至るところにアートが存在しており、窓を埋めた施工跡まで誰かの作品かと勘違いしてしまうほど渾然一体となっています。

客室はゲストのためだけのギャラリー

ただし、宿泊したゲストにしか体験できないのが、客室の作品たち。全25室の客室には、竹村 京さんによるトランプをモチーフにした部屋や、鬼頭 健吾さんによるLEDとグラフィックが斬新な部屋など、それぞれのクリエイターによる作品で彩られています。特筆すべきはスペシャルルームと呼ばれる4つの部屋。

世界的なプロダクトデザイナーのジャスパー・モリソンが手掛けるのは、まるでアートを運ぶ“クレート(木製の輸送器具)”の中に入り込んだようなミニマムな空間。室内に置かれているほとんどのプロダクトが自身の手掛けたアイテムで埋め尽くされ、彼の一貫したデザイン哲学を堪能できます。

イタリア建築を代表する巨匠、ミケーレ・デ・ルッキが手掛けるのは、どこか懐かしさと温もりを感じる無国籍な空間。約3000枚の黒い「こけら板」によって形作られ、光の陰影が印象的です。フランスの建築家、シャルロット・ペリアンの椅子など、空間に対する彼の美学が随所にちりばめられています。

館内の「Lighting Pipes」と連動したレアンドロ・エルリッヒによる部屋は、真鍮製の美しい配管がむき出しになった一室。部屋の外側と内側を繋ぐ配管のアートからオリジナルの家具や備品まで、無骨な表情のなかに寛ぎが融合しているのがなんとも不思議です。インダストリアルな雰囲気が好きな方にはたまらないアート空間といえます。

そして、建築を手掛けた藤本 壮介さんによるスペシャルルームは、室内の椅子やテーブルなど、いたるところからベンジャミンの生花が生えています。「Green & Relax」が貫かれた空間は、心地よい刺激に満ちています。アートがないホテルは見たことがありませんでしたが、“すべての客室がアート”というホテルもまた、初めての体験です。

食もまた、アート

視覚や触覚が存分に刺激されたら、味覚と嗅覚のアートが待っています。メインダイニング「the RESTAURANT」のシェフを務めるのが片山 ひろさん。帝国ホテルで修行を積み、地元で小さなフレンチレストランを営んでいたところ、オーナーの田中さんと出会い、このホテルのシェフに抜擢されました。「もともと“上州キュイジーヌ”をコンセプトに、商標まで取って一人で頑張っていたのですが、自分の世界に限界を感じていました。その頃にJINSの田中社長が主催された『群馬イノベーションスクール』の4期生として参加したのがすべてのはじまりです」と、当時を振り返ります。
「2017年に田中さんが私の店に来店してくださり、このホテルの計画を聞きました。後日誘われて、ご紹介頂いたのが川手 寛康シェフ(フロリレージュ/東京・青山)です。そこから一気に世界が広がりました」と話すように、いまの片山さんの料理は自由闊達なアイデアで地元の食材をアーティスティックなローカル・ガストロノミー、上州キュイジーヌへと引き上げています。

表現者としてのシェフ

「料理というのは、とことんまで芸術に近い世界でありながらも、芸術になってはいけないもの」とは、片山さんの母校である「エコール 辻」の創設者、辻 静雄さんの言葉。スポーツ科学を専攻し、円盤投げで国体まで出場した経験のある片山さんは「料理人とは素材の魅力を掛け合わせ、新しい価値を生む仕事。ましてやシェフともなれば、アーティストであり、学者であり、アスリートでなければならない」と、話します。「生産者の熱に応えてテロワールへの情熱を料理で伝えたい」という想いが、シンプルなコンソメスープから始まる独自の“上州キュイジーヌ”に凝縮されていました。

ビジョンのある街はエネルギッシュ

「白井屋ホテル」での滞在は、実に濃密な時間です。それは、現代に生きるクリエイターやアーティストによる、本物のアートが放つ熱があるから。そして、このホテルに集結した人々のエネルギーにも新しい時代への期待を感じます。その熱量は街のすみずみまで伝播し、住民の意識さえも変えてしまいそうなダイナミズムがあります。

その様子は、以前訪れたスペインのバスク地方にあるビルバオという街に近い印象を受けました。19世紀には商業の中心地として栄え、一度は衰退したものの「クリエイティブ・シティ構想」を掲げることで一大観光地都市へと蘇ったビルバオ。その契機は、フランク・ゲーリーによる「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」でした。イノベーションが起こる街に共通しているのは、明確なビジョンを持っていること。そのきっかけの一人となったのが、前橋出身で起業家の田中 仁さん。次回はその想いについてご紹介します。

ご優待

館内でのお食事やサウナで使用できるホテルクレジット10,000円分をプレゼント。

[対象条件]
ご予約の際に、PTマガジンを見たとお伝えのうえ、対象カードで支払いするとお伝えください。
お支払いには対象カードをご使用ください。
(WEBでご予約の際には「その他ご要望など」欄にご記入ください。)

※他の割引またはホテルクレジット付きプランとの併用はできません。

[対象期間]
2021年12月15日(水)まで

[対象カード]
セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®︎・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®︎・カード
MileagePlusセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®︎・カード
freeeセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®︎・カード
全弁協セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
CPAセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
へきしんセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード
へきしんセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
大和証券セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード
みずほセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレスR®・カード

白井屋ホテル

〒371-0023
群馬県前橋市本町2-2-15
Tel. 027-231-4618(宿泊予約)
https://www.shiroiya.com/