自由な精神が宿る大地の絨毯
FARHADIAN
ギャッベ
自由な精神が宿る大地の絨毯
FARHADIAN
ギャッベ

一点一点に作り手の想いと創意工夫が織り込まれ、同じものはふたつと存在しない「ギャッベ」。「FARHADIAN(ファーハディアン)」のギャッベは中東イランの遊牧民「カシュガイ族」が手織りしたものだけを取り扱っています。草木染めの素朴な色、日々の暮らしにある風景を切り取ったデザインは、都市に暮らすわたしたちの生活に自由な精神を吹き込んでくれます。

©HARUKI SAKIMURA
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世界最古の織物

最近はインテリアショップでもよく見かける「ギャッベ」。基本的にはイラン南西部のザクロス山脈に暮らす遊牧民「カシュガイ族」の手によって織られたものを指します。ムートンのように厚手で柔らかく、それでいて軽い敷物は、荒涼とした山岳地帯での暮らしに欠かせない必需品です。ギャッベは5000年前から紡がれ続けた世界最古の織物で、カシュガイ族の営みそのものだといえそうです。では、カシュガイ族とはどんな民族なのでしょうか。「FARHADIAN(ファーハディアン)」の正規代理店を務める株式会社メイワインターナショナルの代表取締役、楢崎 俊也(ならさき としや)さんに、ギャッベの魅力やカシュガイ族の歴史について伺いました。

©HARUKI SAKIMURA
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遊牧民に宿るフリーダムな精神

「カシュガイというのは、ある指導者の名前なんです」と、楢崎さん。彼らはもともと勇敢な騎馬民族で、カスピ海の沿岸に暮らしていました。その戦闘力は圧倒的で、16世紀には時の王朝「サファビー朝」の発展に大きく貢献したといいます。領地の拡大と遷都に伴って南下してきた5つの主要部族を統一したのが指導者「ジャニ・カーン・カシュガイ」。彼らが“カシュガイ族”と呼ばれる由縁です。しかし、20世紀に入り国土を国有化する土地改革によって、カシュガイ族は国外追放の憂き目に遭います。

「現在では居住区を定められたことで定住する人も増えましたが、いまなお自由の精神を宿して原野で暮らす人たちもいます。わたしたちもイランへ行き、“クーチロー(野を歩く人)”と呼ばれる彼らの元を訪れるのですが、いつも本当の家族のように接してくれます。遊牧民の誇りを胸に、自由を愛するおおらかな気風が彼らの魅力です」

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美しく柔らかな羊毛

ギャッベの品質を決めるポイントはいくつかあります。そのひとつが、羊毛から作られる糸。ファーハディアンのギャッベには「クルドウール」という糸が使われており、「カーリーズ種」と呼ばれるクルデスタン地方で放牧されている羊の毛を使っています。クーチローが育てた羊から採れる上質な毛を川の雪解け水で洗い、細くしなやかな糸に仕上げている村が「バランガン」。 “イランで一番美しい村”と呼び声が高く、この地で紡がれる最高品質の糸だけが「クルドウール」と呼ばれます。脂質が多い独特の毛質は汚れに強く、天然素材の柔らかな風合いが魅力です。

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自然が生む色彩とデザイン

人の手によって紡がれた糸は、1000kmほど離れたイラン南部のシラーズの山間部に運ばれます。高度1600メートルの高地は日差しが強く、乾燥した空気は染色に適しています。赤、黄、茶、青、緑といった鮮やかな色彩は、ザクロやクルミなどの自然素材から作られる天然の染料で染められています。羊毛の油分を抜くことなく、何度も何度も丁寧に染め上げられていきます。

染められた糸はおよそ5000人もの織り手へと渡されます。シラーズの平野エリアではカシュガイ族の多くが定住しているため、大きなサイズのギャッベでも時間をかけて織ることができます。織り手は女性の仕事とされ、嫁入りの際には3枚のギャッベを母娘で織り上げるといいます。モチーフはカシュガイ族の暮らしや雄大な自然から生まれ、家族の幸せや一族の繁栄を願って伝わってきたものばかり。それらを組み合わせたデザインには、ふたつとして同じものがありません。

©HARUKI SAKIMURA
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品質を決める洗いと仕上げ

仕上げはイランの首都、テヘランへ。織物の表面を削って毛の長さを整え、柄やデザインを鮮明に仕上げるシャーリングを行い、裏側はバーナーで焼いて余分な毛を落とします。雪山から湧き出る地下水と粉石鹸で洗浄と乾燥を繰り返すこと4回。この工程で使われる化学薬品は最初に消毒のために洗浄で使われる塩素のみと、環境への負荷は極限まで抑えられています。ファーハディアンの仕上げはペルシャ絨毯を扱っていた時代から評判で、手織りによるゆがみを整える技術や、手紡ぎによる細かな補修の腕はいまも健在です。縦糸と横糸以外は全て天然のウールで、裏側もラテックスなどで固めていないため、柔らかく上質な使い心地をいつまでも楽しむことができます。

ギャッベは必ず踏んで欲しい!

「ファーハディアンのギャッベは全て同じ糸を使い、同じ仕上げを施していますが、目の詰まり具合で踏み心地が変わります」と教えてくれたのは、同社の専務取締役を務める西橋 孝之(にしはし たかゆき)さん。代表の楢崎さんとは関西学院大学の同級生です。

「同じサイズでも、デザインによって織り方や使う糸の量、色の数が変わります。ですから、踏み心地も全て違うんです。わたしたちはお客さまにギャッベをいくつか選んで頂いたら、必ず並べて踏み比べていただいています。良いギャッベに出会うためには、目で見たり、 手で触るだけではダメ。必ず踏んで欲しいと思いますね」

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自由への憧憬

遠く離れた遊牧民の文化に、なぜわたしたちは惹きつけられるのでしょうか。 「はじめてイランへ行ったときのことはよく覚えています。首都のテヘランまで日本から16時間、そこからカシュガイ族の集落まで荒れた大地を車で走りました。初めて会ったカシュガイ族のオープンマインドな考え方に驚きました。ゲストは必ず家に招かれてそのまま泊まるため、現地でホテルに泊まったことがありません(笑)。カシュガイ族の暮らしぶりや仕事への姿勢を知っているからこそ、自信を持って日本で紹介できるんです。とても素朴で真面目、そしてなによりも自由を愛する彼らのクリエイティビティには独特のエネルギーを感じます」

楢崎さんのお話を伺うと、一枚のギャッベの向こう側には、家族を慈しみ、大地を駆け回る彼らの姿が見えてきます。便利で快適なわたしたちの暮らしにはない豊かさ。そんな、なにものにもとらわれない自由への憧れがあるから、ギャッベに心が動かされるのかもしれません。自宅のリビングや寝室で使うのも良いですが、これからの季節はピクニックやキャンプなど自然のなかで使うのも気持ちが良さそうです。

ショールーム

メーカーショールーム:
株式会社メイワインターナショナル
神戸市東灘区向洋町中6-9 神戸ファッションマートビル5W-08
078-856-7311
10:00—17:00 (土日祝定休)

取扱店:
札幌ファニシング株式会社 テラショールーム
札幌市厚別区大谷地
011-894-1151
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076-464-3451
10:00-18:00 (水曜日定休)

サウンドクリエイト
東京都中央区銀座2-4-1
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13:00-18:00 (月火定休)

高原アートギャラリー八ヶ岳
山梨県北杜市大泉町谷戸7742-2
0511-33-0866
10:00-17:00 (土日祝 営業)

GABBEH GALLERY(照明センター)
岡山県岡山市北区石関町3-2
086-231-2986
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