PT Column 2020.10.16

フィンランドのゴルフ

Column No. 1

北欧の国、フィンランドとスウェーデンを跨いでゴルフ場がある。国境を超えてボールを打ち込む豪快なイメージに魅せられて、かなり以前のことだが、フィンランドのトルニオ(Tornio)のゴルフ場までクラブを担いで行ったことがある。

コースは、クリークあり池あり谷ありの変化に富んだものだったが、全体にフラットで、伸びやかな風景の中でプレーを楽しむことができた。実際に、グリーンの真ん中を国境が走っていて、国をまたいでパットをする醍醐味は、他のコースではなかなか味わえないものだ。

クラブハウスはフィンランド側とスウェーデン側の両方にあり、メンバーもほぼ半々だという。当日はフィンランド側から入ってスウェーデン側へ出たのだが、訪れた当時は入国審査があり、パスポートの提示を求められた。

プレー中は、フィンランド側のメンバーの方に同行していただいた。しかし、こちらは使いもしないクラブを含めて14本のフルセットを持ち込んでいたのに対して、先方はドライバーのない7本のハーフセット。それで18ホール、パー72を82〜83で終えるので、ちょっと恥ずかしくなる。

クラブハウスに預けてあるメンバーたちのクラブを見せていただくと、本数はそれぞれまちまちで、ドライバーを入れているのはむしろ少数派。ドライバーで豪快に飛ばすのがゴルフの醍醐味だと思うのだが「それはきっと飛距離を競う別の競技でしょう。ゴルフはスコアを競うターゲットゲームですから、アマチュアにはこれで十分です」と軽くいなされた。

ドライビングレンジに行ってみると、小・中学生と思しき女生徒たち20名ほどが、元PGA選手という米国人インストラクターに教えを受けていた。その指導を見ていると、水が絡むホールの多いことにもよるのだろうが、クラブが短かかろうが長かろうが、とにかくまっすぐ打つことに徹していた。インストラクターに「いくら遠くに飛んでも、隣のホールに飛んで行ったのではゴルフにならないでしょう」と言われると返す言葉もない。

無駄に重いクラブを引きずるように帰国して、では性根を改めたかといえば、さにあらず。クラブを取っ替え引っ替え、ウッドを6本入れた「六本木の男」などと自称して、相変わらず「いで立ちプロ」と冷やかされながら、飛ばすことに夢中になっている。これを「国民性」などと言っては叱られるだろうか。

文章:飯田徹 イラスト:石川理沙(500ml)